No.73：ともだち ページ35
場に静寂が訪れる。饒舌に喋っていたギタラクルも、声を荒げて熱弁していたレオリオも、ギタラクルに萎縮していたキルアも、ただ黙って僕を見つめた。僕の言葉を待っているようだった。
「よし、ゴンを殺そう。」
何も言葉を発しない僕に耐え兼ねたのか、ギタラクルが口を開いた。ゴンがキルアを友達だと思っているのなら今後の邪魔にならない様にゴンを殺してしまおうと言うことらしい。
一刻も時間が惜しいようで、早速ゴンのことを殺そうと扉に向かって歩き出すギタラクルを黒服の男が止めるも、黒服はギタラクルに針を刺されゴンの居場所を言わされてしまう。
だけどこの場にいる受験者やハンター試験の係員が、ギタラクルを止めにかかった。簡単にゴンを殺させる気はないとの意思表示だ。
そんな中、ゴンのために、キルアのために何もできないでいる自分が情けなくなった。両親や兄に言われた言葉が、弟妹への罪悪感が僕を縛っていた。だけど何もできないのは嫌だった。キルアだって、これだけ怖がっている兄に反論したんだ。僕だったら自分の兄が怖くて絶対に反論できなかっただろうに。
「僕も！ キルアと……友達になりたい。」
「まいったなぁ、Aまで変なこと言い出すなんて。」
ゴンだけに向いているギタラクルの殺気を自身に向けることでゴンの危険を少しでも減らしたかった。キルアだけでなく、こんな僕のことを友達だと言ってくれたゴンのことを守りたかった。絶望と恐怖に支配されているキルアの力に少しでもなりたくて。
「キルア、あの時も今も即答出来なくてごめん。こんな僕とでも……友達になってくれるかな？」
俯いていたキルアが顔を上げた。暗く淀んでいた目に一筋の光が宿ったのを見逃さなかった。泣きそうな顔を歪めるキルアの顔を見て、胸の奥から何かがこみ上げてくるような感じがした。何で僕はもっと早くこの言葉をかけてあげられなかったんだろう。
キルアが口を開こうとした瞬間、僕の身体は壁に押し付けられていた。目の前には変わらず感情の篭ってない目をしたギタラクルがいて、僕の両肩に手をかけぐいっと力を込めてくる。
「ほんと困ったなぁ。ねぇ、今の言葉取り消してくれない？ そしたら、これ以上面倒なことしなくて済むし。」
ギタラクルから漏れ出す殺気を浴び身体が震えた。あの時のヒソカの殺気なんて比べ物にならないくらい強い殺気だ。
決心した心がぐらりと揺らいだ。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
