No.42:突然の殺気 ページ3
結局、僕に残された道は素直に両親に従って暗殺者になることなんだと思う。
この試験が終わったらゴンとキルアとはお別れなのか。
そう考えると胸の辺りがきゅーと締まった。
「じゃあさ、Aは?」
気分を紛らわすためにもう一度町の方に視線を向けたとき、ゴンが言った。
真っ直ぐな澄んだ目が僕を見つめる。
彼に比べて僕の目はどんなに汚れているんだろうと考えてしまい、また気持ちが暗くなった。
「あれ?A、どうしたの?
何だか凄く悲しそうな顔してる……」
その変化を感じ取ったのか、ゴンが眉を下げて心配するもんだから、僕は慌てて笑顔を貼り付けた。
『人に心配される人間になったらダメよ。弱味に漬け込ませないようにね』
そうお母様に言われたから。
「っ、なんでも、ないよ。気にしないで。
で……なんの話だっけ?」
「あー……えっとね!Aの父さんと母さんの話も聞きたいなって!」
ゴンは少し不満そうだったけど深く追求はしないでくれた。僕の作り笑いを見て、聞かないように気を使ってくれたのかもしれない。
「両親の話?えっとね、それは……」
ゴンなら僕の両親が暗殺者だって知っても、軽蔑したりしないのは、キルアとの話で分かったから教えても良いかな。
そう考えて口を開いた瞬間、後ろの方から鋭い殺気が飛んできた。
すぐさま立ち上がってその方向を見たが、誰の姿も見当たらない。
「どうかしたかの?」
可笑しいなと思っていたら、今度は反対方向からネテロ会長が歩いて来た。会長は僕ら三人を見回して不思議そうに問う。
「ネテロさん、こっちの方から誰か近づいて来なかった?」
「いーや」
ゴンの問いかけに平然と知らないと答える会長だけど、さっきのは絶対この人の気配だった。これほど近づいてるから分かる。
「素早いね、歳のわりに」
「今のが?ちょっと歩いただけじゃよ」
キルアも僕と同じように気づいてたみたいで、ネテロ会長に鎌を掛けたけど、それでも会長は恍け通した。
そのせいでキルアと会長の間に妙な空気が生まれた。目には見えないけれど、火花が飛び散ってるような気さえした。
「どうかなお主たち。
ハンター試験初挑戦の感想は?」
そんな険悪なムードのまま、ネテロ会長が話を続けるもんだから、ゴンはニコりと笑って質問に答えたのに、キルアはあからさまに不機嫌さを出していた。
僕も会長のことは信用できなかったから、素っ気なくありきたりな答えを返しておいた。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます! (2018年8月30日 15時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです!続き頑張ってください! (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω`*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか!それは嬉しい褒め言葉です(*´ω`*)自分でも話を考えてるときはワクワクします! (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです!更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω`*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2016年3月27日 19時