No.41：親の仕事 ページ2
僕らが休憩のために座った椅子の目の前には大きなガラス窓があって、そこから町が見下ろせるようになっていた。
そこから見える景色は、ライトアップされた高層ビルや民家から漏れる灯りに照らされキラキラ輝いて、幻想的だ。
「みてみて、凄く綺麗だよ」
あまりに綺麗に見えたもんだから、両脇に座るゴンとキルアにも促すと、二人とも目をキラキラさせて外を覗きこんだ。
「うわすげー！」
「宝石みたいだねー！」
皆で感想を言って笑いあって。
こんな時間を過ごせるなんて、家にいた頃は思いもしなかった。
同時に、僕も普通の家庭に生まれていたらこんな風に同世代の子と楽しく遊べていたんだと考えると、少し胸が苦しくなる。
「キルアのさァ……」
「んー？」
「キルアの父さんと母さんは？」
そんなときだった。ゴンがキルアに両親の事を問いかけたのは。
ゴンに両親は何をしているのか、と尋ねられたキルアが返したのは『殺人鬼』という言葉。
「両方とも？」
「あははっ。おもしろいな、お前」
きっとゴンは怖がるんだろうなと思って聞いていた僕だけど、彼は全然そんな様子は見せなくて、こっちが驚いた。
しかも殺人鬼だと言ったキルアを疑いすらしない。
「オレん家暗殺稼業なんだよね」
そんなゴンを見て話す気になったのか、ぽつりぽつりとキルアが自分の生い立ちを話し出した。
その話を聞いているうちに僕もつい、両親の事を思い浮かべてしまった。
小さい頃から僕に暗殺者になることを強要してきた両親。幼い頃の僕は痛い拷問訓練を受ける度、何で僕ばっかり、なんて考えていた。
あの頃から数年たった今は別に暗殺技術を磨くのが嫌なわけではない。
父さんは訓練に付き合ってくれるし、お母様だって……少し厳しいけどきっとあれも全部僕の事を思ってやってくれてるんだって信じてる。
僕はそんな二人に感謝してるし暗殺の仕事をこなすのは、その二人に認めて貰える唯一の方法だから、今までは進んで技を極めたいと思っていた。
でも、ここで二人に知り合ってからその考えが揺らいできた。
暗殺なんか止めてもっと二人と仲良くなりたい、と心の奥底で望んでいる自分がいるのだ。そんなこと絶対あってはいけないのに。
暗殺者になんてなりたくない。とか今更言い出せない。
だってこれは今まで育ててくれた両親、ましてや僕自身の人生を否定する言葉だから。
……二人を裏切るなんてできない。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
