任侠には興味なし【d!】 (ページ22)

今日:3 hit、昨日:25 hit、合計:88,800 hit

↓ ページ22

・

確かに彼の言う通り、誰かがこちらに向かって歩いて来ている。

普通ならこんな夜遅くに出歩く人はいないはずだ。(ゾムは例外だが)

『とりあえずゾムは隠れてて、誰が正体を知ってるかわかんないから。』

「わかった。」

どんどん足音は近づいてくる。焦る私に対してゾムは迷わずダクトへ身を隠す。

どうして一晩で二度も怖い目に合わねばならないのか。

間もなく、扉を叩く音が聞こえ、私は恐る恐るそれに応じた。

・

「ごめんなあ、こんな遅くに…」

『あ、ロボロ…』

正体はロボロだった。

少し恥ずかしそうにしながら謝ってくる。

『ど、どうしたの…』

「いや、眠れんくてその辺フラついてたら、あんさんの部屋から物音がしたから心配になったんや。」

『あああ、それなら大丈夫だよ』

「よかった。」

ロボロは安心したのかニコッと笑う。
その後、私の頭を二三回優しく叩きながら、

「突然押し掛けてすまんかった、ゆっくり休んでな」

『ありがとう。ロボロも気をつけてね。』

「うん、じゃあまた明日。」

手をヒラヒラと振りながら、おやすみの挨拶を交わす。

・

『もう大丈夫だよゾム。』

私の声を聞くと、ダクトがガタッと音を立てすぐにゾムが飛び降りてくる。

「誰やった？」

『この組の幹部の人だよ』

「随分過保護な幹部やな」

彼は体をはたく。ダクトが汚かったからか、彼の体はすすまみれになっていた。

『とりあえず…お風呂入ろっか』

「一緒に？」

『ちがっ！』

ニヤニヤしながら「なんだ」と言ってくる。
本当にこんな人を傍に置いていいのか不安になってきた。

・

しばらくして、ゾムはタオルを巻いて風呂から上がってくる。

「Aー、何か服ない？」

『え！あ！持ってないのか！！ごめん！』

大きな胸板、綺麗に割れた腹筋、くっきりと浮かぶ鎖骨。
彼の肉体美に惹かれそうになるが、なんとか平常心を保って服を探しに行く。

そうでもしない限り、顔はますます紅くなっていただろうから。

私は火照る顔を冷やすために小走りで廊下を進んだ。

・