9.真夜中の再会 ページ19
・
オスマンさんとカフェへ行った晩。
あまりにも楽しかったせいかなかなか寝付けない。
時刻は夜の2時、丑三つ時だ。
こんな時間でどうしようもないので、私は自室のベットでゴロゴロしながらこれからのことを考えていた。
『次期組長かあ…』
周りの雰囲気からすると、コネシマさんと兄の2人が昔から組長争いをしているみたいだ。
それなら私はその2人から選ぶべきなのだろうか。はたまた、もっと別の人がこの先現れるのだろうか。
そんなことを考えていたら余計に眠れなくなってしまった。
とりあえず、目を瞑って寝る努力だけはしよう。
・
─────コンコン
『!?』
寝ることに全力を注いでいたが、突如、不気味な音が聞こえてきた。
それは窓の方から聞こえてくる。
こんな夜更けに変な音が聞こえる、その時点で震えが止まらなかった。
しかし、早く収まれと思っても、音は一切止む気配を見せない。恐怖のあまり、漸くやって来た眠気は遥か彼方へ行ってしまった。
こうなったら、音の正体を暴くしかない。
私は恐る恐る窓に近づく。
未だに音は鳴り続いている。
余りにも怖かったので、思い切り窓を開き直ぐに後ずさりする。
・
音は鳴り止んだ。
それどころか、音の正体すらも姿を見せなかった。
流石にそれは可笑しいと思い、身を乗り出して窓の外を探してみる。
しかし、その姿は一向に見つからない。
でも、絶対に気の所為では無かった。
このままにしておくのは嫌なので虫か何かだと思うことにし、窓を閉める。
・
「見つけた。」
そう、耳元で誰かが囁いた。
その瞬間全身に凍てつくような寒さを感じる。
叫ばなきゃダメだと思ったが声が出ない。
逃げようにも凍りついた体は最早私のものではなかった。
「ずっと探しとったで。」
『ぁ…ぁ…だ、れか…』
「ふはっ、全然声出てないやん。ま、それもそうか。」
一体誰がこんな夜更けに、それもなんの目的でここへ?
「まあ、逃げられないんだったらこのまま話聞いてくれよな、組長のムスメさんよ」
依然として動かない体をベッドに投げ飛ばされる。
この状態になってやっとその姿を見ることが出来た。
『だ、れ…?』
「忘れたとは言わせないぜ。」
その顔に見覚えは無いが、雰囲気に覚えを感じた。
・
149人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らあ。 | 作成日時:2022年11月7日 21時