8.不思議な人 ページ18
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オスマンさんに連れられ、私はとある店まで来た。
いかにもガーリーで高そうなカフェだ。
こういうのはドレスコードとかあるのではないか。
『あの、私、今スーツなんですけど…』
「気にしないで良いめぅ、貸切にしたから何も考えないで、さあ。」
『ひぇ』
貸切という言葉に身震いする。この人は貸切にできるほどお金を持っているのか?それなら、この人は組員じゃない…?
私の頭はますます疑問で満ちた。
店内に入ると、それはまた豪華な内装だった。
全てアンティークな家具を用いており、まるで御伽の国に来たようだ。
『わあ、すごい…』
「せやろ?ここ、グルちゃんと行く約束してたんやけど、今日になってドタキャンしてきて、行く相手がいないから困っててん。」
『グルちゃん…?』
「ああ、会ったことない?金髪で全身真っ黒の人…」
『あああ…』
そういえばいた気がする。1人だけ凄みのレベルが違う人。
幹部会の時、ずっと兄の隣に座ったまま考え事をしていた。
『あの…マンちゃんさんは、幹部なのですか?』
「んー、幹部では無いけど、グルちゃんの右腕的な…?」
『なるほど…』
幹部の側近だから権力もあるのか。
漸く合点がいった。
「まあ、今はそんなこと気にしないで食べるめぅ」
そう言ってオスマンさんは椅子を引き、エスコートしてくれる。
彼はJKみたいなノリなのに、さり気なく紳士的な行動をする。本当に不思議な人だ。
謎は沢山あるけど、とりあえず今はこの時間を楽しもう。
「お嬢は何食べる?」
『えっと、じゃあ、このブラウニーでお願いします…』
「それだけでいいの?」
『え、あ…はい。』
「んー、わかっためぅ」
オスマンさんは店員を呼び、スムーズに注文を始める。
ただ、彼の注文の量が恐ろしく多い。
しばらくするとテーブルから溢れそうなほど沢山のお菓子が並べられた。一つ一つが細かくトッピングされているため、どれも見ているだけで楽しい。
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「あー美味しかった!」
『そうですね!』
その後お菓子を片手に会話が弾み、食べ終わる頃にはお互いすっかり打ち解けていた。
オスマンさんはやはりノリがJKみたいで気さくに話せた。でも、お会計は私が知らない間に済んでいたのでやっぱりイケメンだとも思う。
「また一緒にどこか行こうね。」
『ぜひ!』
今日は久しぶりに楽しかった。
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作者名:らあ。 | 作成日時:2022年11月7日 21時