客席からの恋____そして、実った (ページ17)

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11.今まで感じたことがないくらい心臓が苦しい。ページ17

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　私は、屋上にボーとしていた。瀬戸君は、いつの間にかどこかに言っていることに今気づいた。それに、瀬戸君と付き合いだしたことに、今さっき気づいた。

　戻りながら、私は、こう思った。

　私の佐藤君への想いはこんな簡単な想いだったのかな。

　一回でも、一瞬でも、佐藤君を疑ったりしたことなかったのに。

　自分に、嫌気がさしてきた。

　悔しくて、苦しすぎて、ばかばかしすぎて、何が何だか分からなくなってきた。

　私は、ただ1人で教室に戻った。

　教室には、ほぼ全員クラスメートがもう来ている。いつもと変わらない光景なのに、私だけは、違うような気がする。

　瀬戸君の話が本当か茜ちゃん聞こうと思った。

「おはよう、茜ちゃん。」

茜ちゃんは、チョトンとした顔をしていった。

「おはよう、風花ちゃん。今日は、どうしたの？」

私は、急に緊張してきた。心臓がドクンドクンと高鳴っているのが分かる。

「あのね、…茜ちゃん…、茜ちゃんって彼氏いる？」

茜ちゃんは驚いた様子で言った。

「‥‥いるよ。でも、みんなから人気だから名前は言えないな。」

「そっか‥‥。ありがとう。」

　心臓が苦しい。

　今まで感じたことがないくらい。

　誰かに心臓を押しつけられているみたい。

　『そっか‥‥。ありがとう。』って言えたのも、不思議なくらい。

　本当だったんだ…。

　それが本心。

　勝てるわけない。

　お似合いだな。あの2人…。

　告白しなくて良かったな。

　危なかったな。

　セーフ。セーフ。

　瀬戸君のおかげだな。お礼言わなきゃ。

　そんなことが、次々と頭をよぎっていると、女子たちの悲鳴が聞こえた。