客席からの恋____そして、実った

13．ちょっと待てよ…。 ページ20

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　「ちょっと待てよ…。」

　その時、あの声が聞こえた。

　その声の主は、佐藤君だった。佐藤君は、続けて言った。

「俺からしたら、気分悪いんだけど。好きな子が他の男とキスするの見るの。」

　もしかして、佐藤君がさっき言った『好きな子』は、私？

　もしそうだったら、うれしいな。

　あれ？私は、佐藤君のことがまだ好きなのかな。

　でも、私は瀬戸君と付き合ってるし、それに、佐藤君には、茜ちゃんがいる。

　でも、でも、もしあの2人が付き合ってるんなら、佐藤君は、2股だよね？

　瀬戸君は、言った。

「でもさー、悠斗はさぁ、中山さんと付き合ってるよね？」

佐藤君は、不思議そうに言った。

「は？俺、中山さんと付き合ってないけど。だよな、中山？」

そういわれて、茜ちゃんは、顔を縦に振った。瀬戸君は、あの写真を見せながら、言った。

「じゃあ、これは？」

「それは、確か、係りで話してた時。」

「……じゃあ、…勘違い？」

「そう…だね…。」

　このやり取りで、私の心の中にあった、黒くて、モヤモヤしていたものがスッキリとなくなった。

「ゴメン！それと、悠斗とお幸せに。」

瀬戸君は、勢い良く私に謝った。そして、最後の一言を小さな声で言った。

「うん。」

私は、そう言って許し、軽くうなずいた。佐藤君が

「みんな、解散‼」

と言って、みんなを解散させた。

　すると、佐藤君が言った。

「昼休み、話したいことがあるんだけど、あの客席に来て。」

私は、コクッとうなずいだ。

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