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「あ、松本さんやん」
昼休憩、いつものように侑を待たせて自販機に飲み物を買いに行くと、今日は先客がいたようで。
「今日は侑に引っ付いてないんやな」
あははっと嘲笑気味に笑いかけてくるのはいつぞやの女の子たち。
関わり合いになりたくないので、彼女たちを一瞥し自販機に小銭を入れる。
「たまには私たちにも侑貸してよ」
「ねー、りんみたいにさー」
私が反応しないことにも構わず好き勝手話す彼女たちに、まだ懲りてなかったのか。という言葉が飛び出そうになり慌てて飲み込む。
「なんか言えば?」
突然イラついたように自販機を叩く彼女たち。
相変わらず沸点がわからない、とため息を着く。
「貸すも何も、角名も侑も物じゃないし、貴女達が誰といようと私には関係ないから。」
自分で声かければ?
と、買った飲み物を取り不満そうに眉を寄せる彼女たちに目を向ける。
「俺が何って?」
「り、りん!」
どこから聞いていたのか。
突然現れた角名に慌てる彼女たち。
「見ない組み合わせだけど、そこ友達だったの?」
「そ、そうだよ!ね、Aちゃん?」
「あー、うん?」
毎度見計らっているかのようにタイミング良く表れる彼らに私も思わず話を合わせる。
見られて慌てるくらいなら最初から最初から突っかからないで欲しいものだけど。
「へぇ?」
角名の目の奥が笑っていないような気がするのは気の所為か。
悪いことはしていないはずなのに見たことの無い角名の表情に少し緊張する。
「!」
「A〜、いつまで飲み物悩んで…行くで」
目が合った。
そんな気がしただけかもしれないけど。
同時に、帰りが遅い私を迎えに来たらしい侑が彼らに気づき角名を押しのけ私の腕を引っ張る。
「侑。もうそんなに気使わなくていいよ」
「でも…」
納得がいってないような表情の侑。
私を心配してくれての行動だと言うのはわかっているけど、
一瞬目が合ったような角名の表情がどこか悲しそうで。
いつか、その理由が聞けるのかな、なんて呆然と考えた。

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作者名:李雨*無気力なう。 | 作成日時:2025年1月22日 2時