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   〜出会い(4)〜 ページ4

「金持ちの息子に愛妾になるよう言われたぁ!?」


「色町で言葉を覚え、金貨を食べて育ったと有名なご子息でね。赤い髪を珍しがって自分の傍に置きたくなったって話だったよ」



結局、髪を切ってもらった白雪はあまりの事の重大さに絶句しているゼンに背を向けるようにして立ち上がる。



「相手にしたら、果物屋で林檎を買うようなものだったんじゃないかな」



ただ髪が生まれつき赤いだけなのに、こんな仕打ちを受けなきゃいけないんだろう、と言ってるようにも聞こえた。



「白…」

「…だから、カケラで見飽きて下さいと思って束ねてた髪を置いてきたんだよ」

「そりゃいい!!ハハハハ」

「あははは、笑い事でもないんだけどな」



手を叩いて笑うゼンに白雪は、苦笑する。



「いやいや、いい判断だ。よくその下種から切り離した。まぁ、まだ可愛いやり方だ。クレアなんて…」

「?」

「いや、何でもない。赤ってのは運命の色の事を言うんだろ、今は厄介なだけでも、案外いいものに繋がってるかもしれないぞ」



歯が浮くような台詞に、白雪も少し引いているようにも見える。



「す…すごい考え方するんだね…」

「おや?尊敬?」

『ふーん、ゼンがそんなこと言えるんだー』

「な、クレア。いつからそこに?」

「クレアさん、あ、危ないですよ」



木の影からひょっこり顔を出せば、慌てるゼン。白雪は高い木の上にいるクレアの身を案じ、声を掛ける。


『あー、大丈夫。なんか届け物が来たみたいだよ』



淡々と話してから、木を伝って戻っていった。



「あ、話してくれた。…届け物?って、ゼンにかな」

「いや、わからん。取りあえず戻るか」

「そうだね、戻ろうか」



遊び場の空き家に戻っていくゼンの後ろ姿を、ずっと見守っていた三人は、二人の様子について話す。



「…白雪はやっぱり怪しい人じゃあなさそうだな、木々?」

「それどころかゼンは相当気に入ってるね」

『あたしと少し似てるかも』



クレアは、自分の髪を撫でながらゼンと白雪の後ろ姿を見ている。



「そうだな、少し似てるかもな」

「だから、教えてあげたんでしょ?」

『別にー。先帰る』



さっさと戻るクレアの後ろ姿を見ながら、照れてるなクレアの奴。と呟くミツヒデに木々はそうかもねと、返した。





「なんだって隣の国からこんなとこに…」

「え!?」



ゼンが持ち上げた籠に、見覚えのあるものがあると声を上げた白雪。



「白雪?」




.

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設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ , 従者   
作品ジャンル:ファンタジー
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時

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