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「私、今すごく幸せだから。」
「…そっか、良かった。」
「それだけどうしても太輔に伝えたかったの。」
A…。もしかしてさ、
俺らの判断は正しかったんだって、伝えてくれようとしてる?
…不器用だなぁ、相変わらず。
「…髪、似合ってる。」
「えへ、そう?」
「髪切った理由Aらしくて笑わせてもらいました。 」
「あ、ひどーい!」
「あはは、」
「このドレスをね、発見した時
これだ!ってなって、
これだったら髪の毛切った方が絶対綺麗に映えるとか思っちゃってさ?
バッサリいきましたよ! どう、かな?」
「ん、いいと思う。
Aの言う通り、そのドレスに映えてる。」
「やっぱり?そーだよね
切った方がドレスが綺麗なの!」
「ドレスだけじゃないよ。
…どんなに綺麗な女優さんやモデルさんより
今日のAが1番綺麗。
___結婚おめでとう。」
「__ありがとう、、
そんなに綺麗?嬉しいなぁ。
太輔の今のが、今日1番の褒め言葉だよ」
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『新婦様〜、ご準備おねがいします』
遠くからAを探す声。
「はーい!! …もう行かなきゃ」
「ん、じゃね また後で。」
次に顔を合わせる時は
もう二度とこの距離には戻れない。
それがほんの数分後でも。
「ん、ばいばい
………たーくん、たくさんの幸せをありがとう。
私、誰よりも幸せになるからね。」
コツコツ___
俺から遠のいていくヒールの音。
薄れていくAの残り香。
「Aっ!」
俺は今でも
きっと、Aの事が好きなんだと思う。
「ん?」
振り返った君がすごく美しく思える。
白いレースは風を掴まない。
ただ…
君を輝かせる。__誰より。
「冷蔵庫に貼ってるレシピ、もう要らないだろ?
…一応残しておいたんだけど。
もう、、 捨てておく。」
「___ん」
それでも、、、
こうやってちょっとずつ前に進めるのはAが幸そうに笑ってるから。
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作者名:れんり。 | 作成日時:2019年3月3日 14時