無個性44 ページ45
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目の前に広がる光景に、思わず乾いた笑いが零れた。
『(脳ミソ怪人とか、聞いてねえ)』
こりゃ死んでもおかしくないわな、と更に笑いが溢れる。しかし、なにもしないまま引き下がるわけにはいかないのもまたそれである。
「あぁ、ヒーローに訊く手間が省けた」
死柄木は友好的に、手を広げて近付いて来た。こういうときは刺激せずに話す、らしいが生憎私はそんなスキル持ち合わせてはいない。
どうすればいいか戸惑い、そして動きを止めた。
「大人しくしてたら、すぐに楽にしてやるよ」
死柄木と正面に向き合う。遠くの方でやめろ、とか細い相澤の声がする。
ほんと、やめとけばよかった。来るんじゃなかったわ。
でも、私は逃げない。そう思うといつの間にか不思議と体の震えは止まっていた。
勝とうとは思わない。不可能だってわかっている。だから、私の目的は他のみんなへの注意を逸らす。こと。
先ほどここへ駆けてくるとき、委員長が外へ増援を呼びに行っているのが見えた。きっと、もうすぐ助けが来るはず。私は、死なない。
はっ、と顔を上げると死柄木はもう目の前に迫っている。すなわち、私の手の届く範囲。
もう考えている時間はない。
みんなへの注意を逸らす。その目的を果たすため、ふざけるように手を振りかぶり、死柄木の顔面を捉えた。
『えいっ』
場に似つかわしくない、気の抜けた声と共にぼとん、と地面に洒落た血の気がない手が落ちる。
すると、マスクが取れた死柄木の顔が不自然に歪んでいくのが伺えた。
「気が変わった...取っ捕まえて、じりじりと殺してやる」
ーー抗うなら、命を賭して、最後まで。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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まっちょヒーロー(プロフ) - んさん» 読み進めて頂ければ後々説明があるのですが、ヒロインは<特別推薦>という設定で、筆記は免除の代わりに実技はみんなと同じように受ける試験の仕組みになっております。わかりにくくて申し訳ございません。 (2021年7月11日 4時) (レス) id: bd2b404748 (このIDを非表示/違反報告)
ん - ヒロイン推薦なんですよね?何でデクたちと同じ日に会場にいるんですか? (2021年3月22日 21時) (レス) id: 0324f0d530 (このIDを非表示/違反報告)
ライカ(プロフ) - すいません!YouTubeから来たライカという者ですが、この作品、毎日見てるんですけど、全然飽きませんね!その文才をちょっとください! (2017年7月21日 22時) (レス) id: 5fc3e44d27 (このIDを非表示/違反報告)
まっちょヒーロー(プロフ) - 黒虎さん» ありがとうございます!載せさせてもらいます! (2017年6月16日 6時) (レス) id: 9de6d60241 (このIDを非表示/違反報告)
黒虎(プロフ) - まっちょヒーローさん» 大丈夫です! (2017年6月16日 1時) (レス) id: 71962d5520 (このIDを非表示/違反報告)
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