五夜 ページ5
「女……幼女……？なんでサッチの部屋にこんな
子供が………」
ああ、めんどくさい……
部屋の中に入ってきたのは、パイナップル？の
ような頭に、気難しそうな顔をした男だった。
「……まさかお前……！」
「あ、別に盗みに入ったとかそういうんじゃ……」
確か、白髭は自分の船でのそういう行動は許さないことで有名だったはず………もし、誤解でもされてみろ。私の人生はここで終わることになる。
なんとか……なんとかしなければ………
「あいつ(サッチ)の……隠し子かよい……！？」
「……へぁ？」
カクシゴ………かくしご………隠し子……ん？
「あいつ……行った島、行った島でよく女つくって
遊んでたが………まさか娘が……？」
なにか恐ろしい勘違いをされている……のか？
これ、訂正しないとかなりめんどくさいことに
なるんじゃ………
「ちが」
「ちょっとあいつぶん殴って来るよい。」
パイナップル頭の男は、そう言うなり部屋から
出ていってしまった。行き場のなくなった右手が
空を掴む。
………まあ、いっか。
「____うーん、何か嫌な予感がするなあ。」
「怖いこと言わないで下さいよ隊長………」
いつものように玉ねぎの皮を剥いていると、サッチ隊長が口を開いた。嫌だな。隊長の勘はよく
当たるんだ。
「例えば、そうだな……マルコがかなりお怒りだっ
たりして？」
それを聞き、ため息をつく。
「そんなの、いつものことじゃないですか。
びっくりさせないでくださいよ。」
「はは、すまねェ。だが、多分当たってるぜ？」
「ええ……本当ですか？違ったら今日の俺の飯
増やしてくださいよ。」
「違ったら、な。ああ、それはこっちの鍋だ。」
「分かりました。」
会話はそれで終了し、俺たちは調理を再開させ
た。そう、マルコ隊長が不機嫌なのはいつものこと…………というか、そういう顔なために、不機嫌に見えるのだ。
バンッ！！
「おい、サッチ。面貸せよい。」
厨房の扉を叩き開け、ドスの効いた声を発するその人。マルコ隊長は入ってきた。よく見れば……いや、よく見なくても分かる。
かなりお怒りだ。
「………ほらな。」
いつものにやけ顔でサッチ隊長は言った。
ああ、俺の夕飯………
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
