二十三夜 ページ23
「……とりあえず、人じゃないのは分かる」
「あっ、やっぱり〜？君妖怪だからなあ。すぐ
バレちゃうや」
なんなんだろう、こいつは。……いや、"こいつ"なんて言葉遣いしてもいいような相手なのだろうか？
なんとなく、妖怪や人間よりかは上の存在なのだと思う。
「えっとね、ボク一応、神様やっててね。
今回は君にお願いがあって来たんだ」
「へえ……ああ、神だったの」
神様だと名のったその人は、ギョッと目を見開き、なんだかマヌケな顔でこちらを見つめた。
「君、随分とあっさり信じるんだ。いいの？
もしかしたら、からかわれてるだけかも知れな
いのに」
……からかわれるも何も、目の前のこの人が自分のことを"神様"だと自己紹介したのだ。そう呼ぶしかあるまい。
ついでに、妖怪の私が言うのもなんだが、私は神様がいるなんて到底信じてはいない。もし本当にからかわれているのなら、それに自らノリにいくまでだ。
「そういうことなので」
「ボク、心読めるって言ったっけ……？」
「言ってないよ」
「だよねえ」
う〜んと首を傾げ、突然考え込む神様とやら。微妙に口元が緩んでいるのが少し気になった。
それにしても、分からない。この人は一体、何をしたいのだろうか。"神様"とは言っていたが、私は本当に神様という存在を信じていない。
もし、もしも、本当に神様がいたとしたら……
_____あの子が死んでしまうこともなかったのだから。
「その君が言ってる"あの子"に会いたくない？」
「………は？」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
