二十一夜 ページ21
「___よし、こんくらいありゃ、ログが溜まるま
では大丈夫だろうな。
チェン！そろそろ戻るぞ！」
「あ、うん」
両手に今さっき仕留めてきた猛獣たちを持ち、チェンを呼べば、いままで通りの声で返事が返ってくる。
そのチェンの小さな手にも、俺と同じサイズとまではいかないが、悠に二メートルを越えるようなトラが抱えられている。
「……………(汗)」
多少は戦えないと生きていけない、とはこういうことだ。この島では、何が原因かは分からないが動物たちが普通より巨大化し、獰猛になっている。少しでも気を抜けば命はない。
「オヤジも結構、意地が悪いぜ」
「……？」
チェンをこの島に連れてきたのには、きっと理由があるのだろう。大方、新入りの実力を息子たちに見せてやりたい、と、いったところか。
ふと目線を前に向けると、見覚えのある人影が目に入った。
「……おっ、気がきくなあ、迎えに来てくれたみた
いだぜ」
「宴だあ！！」
「俺たちの妹に乾杯！！」
「可愛いだけじゃなくてたくましいなんて最強だ
な！！」
島に到着すると、うちの海賊団は必ずといっていいほど宴を開く。
ここ、グランドライン後半の海では、船の転覆は決して珍しいものではない。むしろ日常茶飯事といってもいい。無事に目的の島につけたことを喜び、それを祝うのだ。
「____オヤジ…俺たちが手伝うまでもなかったじ
ゃねえか………分かってて指示したな？」
「グラララ……どうだろうなァ……」
今日は珍しくイゾウが酔っている。それどころか、オヤジに突っかかっていっている。また何かオヤジ流の"イタズラ"でもされたのだろうか。
「何のお話してるの？」
「チェンか……聞いてくれよ……」
「イゾウ……なんか匂いが……みんなと違うお酒飲ん
でる………」
「ん？ああ、ワの国の……酒だよ……鬼殺しっていう
んだぜ……ﾋｯｸ……」
お、鬼殺し……結構強いやつじゃねえか………
「チェンも飲むか……？」
「やめとく……」
「そうか……………
次の偵察は俺と行こうな……」
「……あ、いいよ」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
