十九夜 ページ19
「とっ、とにかくだ。今度の島は無人島だから……
お嬢、絶対に、気をつけていけよ？」
「……？分かった」
「_____イゾウ、なんであんなに必死だったんだ
ろう………」
腕を組んで考え込んでいる妹の頭を撫でる。
「さあな……"焼きもち"じゃね？」
少し笑いそうになってしまったのは気づかれていないらしい。
イゾウの話はそこで終わり、俺はチェンの持つチョーカーに再び目を向けた。まあ、悪いもんではなさそうだし………
「それ、貰っちまえよ。どうせ持ち主はいねえん
だし」
「………そうだね」
さて、無人島とはいっても、ここは動植物の繁殖が盛んだし、食料には困らんだろう。前に一度来たこともあって、真水の湧き出る場所も把握済みだ。海水のろ過機があるから関係ないけど。
唯一の問題といえば…そうだな………
「チェン、お前、少しは戦えるか？」
「まあ、一応妖怪だし……並みよりは……多分」
女の子にいきなりなんてこと聞くんだ、と思っただろう。しかし、これは仕方のないことだ。この島では、多少は戦えないと生きていけない。
ズシン……と背後で何かが動いている。地面に巨大な影が現れ、俺たち二人の影をも飲み込んだ。
「あと半日もすれば、オヤジたちもこの島に到着
する。
__________飯の支度でもして待ってようぜ」
「はぁ〜……」
「イゾウ隊長……今日何回目ですか？」
「五十八回目……」
「うわぁ、覚えてるし」
今日は、朝からイゾウ隊長の機嫌がよろしくないようだ。何回目か、というのは、ため息の回数である。
「サッチのやつ……お嬢と二人っきりで偵察とか……
羨ましすぎる………」
「まあまあ、あと少しで島に着きますから……」
そう、朝からずっっっっと、この調子なのだ。なんで知ってるのかって？そりゃ、ずっっっっっっと！！食堂でうじうじしてたからだよ。
「ワの国出身かもしれないんですっけ？イゾウ隊
長も同郷仲間が欲しかったりするんですね」
「まあな……俺以外ワの国出身いねえし
はぁ〜………」
「また………」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
