十八夜 ページ18
「_____おーい、チェン！行くぞ！」
誰かに呼ばれたのを感じ、その声をしっかり聞こうとした耳がピクリと反応した。私は立ち上がり、声の主の方向へと歩き出す。
じゃりじゃりと足下の砂を鳴らしながら、向こうもこちらへと近づいてきた。前の島では聞けなかった音のため、なんだか新鮮だ。
「なんか見つけたのか？初めての島だからって
あんまりはしゃぎすぎると、人さらいに遭っち
まうぜ」
まあ、ここにはいないと思うけど。とにこりと笑う。
「サッチ……これ拾ったの」
どれどれ、とこちらを覗きこむサッチの顔に、私は自らの手のひらを近づけ、それを見せた。
銀色に光り輝くそれは、綺麗な円を描いており、なにか神聖な雰囲気を漂わせている。
「首輪……チョーカーか？まだ新しいっぽいな。
この島、無人島じゃなかったっけ？」
「イゾウさんはそう言ってたと思うけど______」
「_____え……！？お嬢と偵察に行ってくる！？」
「ああ、各隊との親睦を深めるためらしいぜ。
あっ、オヤジの発案な。最初はこのサッチさん
だから」
俺の言葉を聞き、イゾウは更に冷静さを無くしている様子だった。珍しいな、こいついつもは何言われてもケロッとしてるのに。
大体は返り討ちにしてたけど。
「お、おまっ……お前っ、なにか間違いが起きたら
どうするんだよっ」
「えっ、お前の中の俺って一体……」
というか子供は襲わない………あいつ、子どもじゃねえな。
「大丈夫大丈夫。ただの偵察だよ。イゾウが心配
するようなことは一切起きねえって」
「ん？サッチ……とイゾウ。何してるの？」
ちょうどいいや。話の中心人物が通りかかってくれたんだ。一緒に弁解してもらおう。
チェンの肩を抱き寄せ、イゾウをチェンと同じ目線から見上げた。イゾウはと言えば、こちらを指差し、口をパクパクさせている。
なになに？
"そ･う･い･う･と･こ･だ･ぞ"？
はあ………
「おいチェン、イゾウのやつな、俺たちに間違い
が起きないかが心配らしいぜえ？」
チェンは首をかしげ、俺とイゾウを交互に見つめた。
「間違い……？なんのことかは分かんないけど………
私たちの関係に間違いはないと思う」
「「ん"っ……！」」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
