十六夜 ページ16
「_____で、こいつが十五番隊隊長のフォッサ。
それからこいつが」
「十六番隊隊長のイゾウだ。よろしく頼むぜ、
お嬢」
ざわざわと周りがざわめき始める。今、各隊長
の紹介が終わったところなのだが………なにかおかしいところがあったのだろうか。
「い…イゾウ、お前……そりゃいったいどういう風
の吹き回しだ……？」
ドレッドヘアーの髭が生えた人が口を開いた。名前は確か………ラクヨウ、って言ってたっけ。
「なんだ、普通に自己紹介しただけだろ」
「いやぁ、そ、そうなんだけどな……？(あれ？)」
イゾウさんは本当に普通に自己紹介をしただけだ。………もしかして、いつもはこんな普通のあいさつをしない人だったり………
「お前、子供嫌いだっただろう。すごく」
次に口を開いたのは、ものすごくガタイがいい人だった。三番隊隊長の……ジョズさんだ。
子供嫌い……なるほど、だからサッチが目をかっ開いてこっちを見てたのかな。
イゾウさんは煙管を噴かしながら、少し間を置いてこう言った。
「いつ、俺が子供が嫌いって言った？」
「「「は……え？」」」
大の大人が口をあんぐりと開き、眉を潜めるその姿は、私にとっては少しおかしく思えて、クスリと笑ってしまった。
「俺は、子供が"苦手"なんだよ。先が読めねえ
し、ギャーギャーうるさいからな。
お嬢は落ち着いてて、結構好きだぜ」
「なーっ」とこちらに笑顔を見せてきたが、私は口が弧を描いている状態だったため同意したと思われたようだった。
実際はどう伝わろうがよかったのだけど。
すると、突然サッチが手を顔に当て、床に崩れ落ちる。
「さっ……先にチェンと出会ったのは俺なんだから
な……！！」
「おいおい、おっさんの焼きもちは見苦しいぜ？
サッチさんよお」
「うるさいうるさいッ……いつの間にか仲良くなり
やがってえ……！」
そんなにも私と仲良くしたいものなんだろうか
この人たちは。
________いや、張り合いしてるだけだな。
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
