だいっ嫌い ページ4
そのまま教室から出ようとするので
担任が気づいて
「おい、佐野。勝手にでるなよ」
と声をかける
玲於は無理向きもせずに
「便所！」
と叫びかえして
乱暴に扉を開けて廊下へと出ていった
教室の空気がふっと緩むのがわかった
見るともなく私を見る視線が
集まってくるのを自覚する
私はみんなからの注目を全身の肌で感じながら
マスクを押さえて
「ほんと玲於って口悪いよねー、最悪」
と沙耶香に笑いかけた
すると彼女は小さく微笑み
私の肩をぽんっとたたくと
無言のまま自分の席に着いた
亜嵐からは
「気にすんなよA」
と声をかけられた
その瞬間、かっと頭に血が昇った
なんなのよ、むかつく。
そんな慰めるようなことしないでよ。
私が傷ついたみたいになるじゃない
玲於に傷つけられたみたいになるじゃない
私がみじめなやつみたいになるじゃない
やめてよね、本当。
さらっと笑って流してくれればいいのに
不満と怒りがいっきに溢れ出したけれど
そんな感情を吐き出す出口など
私の体にはついていない
胸元に当たったマスクがずり上がり
目のすぐ下までおおい隠すのを感じた
玲於とは高2になって同じクラスになり
今年の四月にはじめて言葉を交わした
と言っても、去年は隣のクラスで
体育の授業は合同だったし
数学の能力別授業では同じクラスだったのであ
なんとなく顔見知りではあった
でも、まあ、それがなくても、
彼はとても目立つ存在だから
噂くらいは聞いたことがあっただろう
玲於は、同学年の全員に
多分他の学年のほとんどの生徒にも
顔と名前を知られていると思う
その理由は３つ
まず見た目だ。
彼はとても目立つ容姿をしている
どこか中性的な
整ったきれいな顔立ち
すらりとした細身で背が高いので
立っているだけでも目を引く
続く
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作者名：773 | 作成日時：2018年9月22日 2時
