お前だけは忘れない【志麻】

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志麻side





俺はうらたさんに迎えに来てもらって、坂田と三人で買い物に出た。

センラさんは京都におるし、仕事やから一緒には行けんかったけど、ちょこちょこラインしたりして。


前回の浦島坂田船での集まりの時。

何処に行こうとしていたか忘れていた俺は家を出た後、スマホを確認して思い出す、と言うよりかはつい先程までの自分の目的を知って、うらたさんに電話をして迎えに来てもらった。
一人で目的地に着けるか、不安やったから。

帰りも送ってもらって、あの人には頭が上がない。

それからは、出かける時は毎回うらたさんか坂田がわざわざ送り迎えをしてくれるのだ。


ありがとう。センラさんも。皆、ありがとう。




思わず泣き出した俺の目元を坂田が拭った。

『笑って！』

そう言ったあいつの優しい笑顔。

俺も釣られて笑った。


あのとき、俺はどんな笑顔をしていただろう。





Aのことを忘れる前に、彼女にどうしても何かを渡したかった。
この日はその贈り物探しをしていた。


花屋を通りかかった時にうらたさんが声をあげる。



『プリザーブドフラワーとかどう？』



プリザーブドフラワーは長く美しい状態を保たせることができる加工を施した、高価な花。


ほへー、とカタログに目を通した俺は、これしかないと意気込んで紫苑を注文した。





これは、俺の願いを込めた花。

どうか、彼女が喜んでくれますように。



花言葉は__________。









A。あいしちゅうよ。
あんな、どうしてもこれだけはゆずれんねん。

ぜったいに、忘れへんよ。やくそく、するわ。

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