お前だけは忘れない【志麻】

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志麻side




俺はとうとう、浦島坂田船メンバーを忘れてしまっていた。

今日、うらたさんの家で四人集まってたのだが、トイレから帰ってきた時に、俺は、三人の名前が思い出せなかった。

直後、すぐに思い出すことはできたものの、俺は大切なメンバーを忘れていたショックが大きく、派手に取り乱した。

皆にしがみついて、泣きわめいて、散々迷惑をかけてしまった。


その時の三人の顔は、どんな表情だっただろうか。

三人との思い出も、段々と薄れていっている。



それでも。



『しーまくん』


うらたさん。



『まーしぃ！』


坂田。



『志麻君』


センラさん。




彼らの俺を呼ぶ声を、今はまだ覚えている。


忘れるな、忘れるな、と暗示をかけるように頭の中でその声を思い出していた。


もう二度と、こんな思いをしたくない。


もう二度と、大切な、大切な彼らを忘れたくはない。



彼らとの思い出を、覚えている限り日記に書いていく。


そして、Aのことも。

忘れるはずは無いと思っていた、メンバーのことを忘れてしまっていた今、いずれ彼女のことも忘れてしまうのだという恐怖が胸に燻っていて。



皆のことを、忘れたくない。

でも、きっと俺は忘れてしまう。



だから、書かなくちゃ。


俺は、皆が大好きだってことを、ずっと、残せるように。


現実から逃避して、何も残せなくなるのは嫌だから。

現実を受け止めて、前に進まくちゃ。




それが、俺にできる唯一のこと。






今日、家を出る時に固まっていた俺を心配そうに見つめていたA。

＿実はこの時、何処に向かおうとしていたのかを忘れとった。



急に抱き締めた俺に、キスをしたA。

＿途中まではちゃんと素直に言えとったのに。肝心の、愛してるを言えなくてごめん。



大丈夫、覚えてる。

Aの、可愛らしい瞳を。柔らかな唇を。滑らかな髪を。透き通る声を。その全てを。









A、愛してる。ずっと、側におって。

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