合法ですべて解決する特捜課最年少

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「犯人は吉岡隆太、22歳浪人生」

タブレットを用いて教えてくれるので視覚的にも聴覚的にも情報を入手できてありがたい。
綿貫さんの後ろから液晶画面を覗き込んだ私は、立てこもってる男の職業欄を見て驚いた。
星山予備校新宿校って超名門のところじゃないか。
偏差値60超えだったと記憶している。
国語一強で、他の教科はまるっきり駄目な私には絶対入れない学校だ。

「駅前で、ナイフを持って彷徨いていたところを、警邏(けいら)中の警察官2名が発見。うち1名を奪った拳銃で射殺し、この施設に逃げ込んだ」

射殺という言葉に目を細めた私は、もう人を殺してしまっているのかと焦燥感を覚える。
これは、陣内さんに吉岡さんが八つ当たりされる確定演出じゃないか。
殺人の罪を犯しているから、というのは言うまでもなく警察官の拳銃が奪われたことも大問題。
それに怪我人の有無はまだ分からないけれど人質を取ってる。
射殺も止む無しとして処理される可能性しかない。
才木さんに咎められる理由がほとんどない、ということに容易に気づける陣内さんは絶対に殺そうとする筈だ。

「あまり人が悲しむところ、見たくないんだけどな」

きっと、才木さんはまた止められなかったと悔やむ。
誰よりも純粋な正義感を持っているから、自分を責めてしまうだろう。

「目撃証言によると、吉岡は瞬間移動をするらしい」

今回は陣内さんの殺しを妨害でもしてみよっかな。
そんなことを考えていると戸倉さんがドーパーの異能力について言及した。
ワープ系の異能力、ねぇ。

「テレポーテーションってやつか」

「犯罪にはピッタリの異能力っすね」

柴原さんの呟きに、口には出さず心の中で私は同意する。
引ったくりとかしても監視カメラに映らないって最強じゃん。
どこまで飛んで移動できるのかは知らないけどね。

「ちょっと見てくる」

詳しい状況を知る為、陣内さんが建物へと歩き出す。
才木さんは危険だと思って声をかけたが、傍若無人な彼が静止なんか聞く筈もなく、自動ドアから中へと侵入していった。

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