29t ページ30
「色んなアプリがあるんですね」
ニコニコしている柴原さんに、才木さんが感心したように呟いた。
えっもしかして彼もパートナー募集中な感じ?
「彼女は?異能力のこと」
綿貫さんの問いに笑いながら言う柴原さん。
「言えないっすよ、すげぇ鼻が良いなんて」
その隣で才木さんがスマホを弄り始めた。
「何してるんだろ…」
ピピッ。
不思議に思って呟いたところで、丁度私の腕時計のアラームが鳴った。
そろそろ薬の時間だ。
席から移動していた椅子を自分の場所に戻し、引き出しから瓶を出す。
手に錠剤を出してから、デスク上にいつも置いている水筒を片手で開けた私は、一気に口内へと投げ入れた。
苦みが広がる前にすぐお茶で喉に流し込む。
2日に1回の頻度でやってるからもう慣れたものである。
「ん、どうしたのこっち見て」
はぁ、と息を吐いていると才木さんが私を見ていることに気がついた。
「な、何してるんですか?そんなに飲んだらっ!」
言っている途中でガタン、と立ち上がり焦っている。
余りの驚きように私はつい口角を上げて笑ってしまった。
開けたままだった瓶を閉め、ジャラジャラと鳴らし見せつける。
「レタスを29錠〜。才木さんもやります?」
唖然として固まる彼に、綿貫さんが補足説明をする。
「そういえば、才木くんは知らなかったね。Aちゃんの異能力は酩酊。酔っている分だけ相手を中毒状態にできる異能力なの」
「中毒状態?」
才木さんが訊き返したので私は口を開いた。
「簡単に言うとデバフのようなものです。ほら、パイロキネシスのドーパーが立てこもりを起こしたとき一瞬だけど…ドーパー、意識飛んでたでしょ」
説明すると、思い出したのか合点した様子。
「じゃあ田辺さんが、」
才木さんが私に何か訊こうとしたところで葛城さんのスマホがピリリと鳴り、皆が顔を向ける。
このシグナルは、出動要請だ。
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クロ(プロフ) - た!!!さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しく思います♪なるべく今日中に更新したいと考えておりますので楽しみにしてくださいな (8月23日 16時) (
レス) id: 6b6cbcfbd1 (このIDを非表示/違反報告)
た!!!(プロフ) - はじめまして!この作品読むの楽しくてつい一気読みしちゃいました!更新楽しみに待ってます!!! (8月23日 15時) (
レス) @page48 id: 07f2555b89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロ | 作成日時:2025年8月6日 18時


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