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「オマエの母親、ドープ依存者らしいな」

腰掛けてすぐ才木さんに話しかけた陣内さんは、喋りながらチョコ棒を食み始める。

「道理でドーパーの肩持つ訳だ」

母親がドープ依存者。
勝手に人の家族の話を聞いていいんだろうかと私は遠い目をしながら、どこかに納得している自分が居た。
悪いのは、ドープではなくドーパー。
私は昨日交わした屋上での会話を脳裏に思い浮かべて目を細めた。
その内、ドーパーに対して救済思考を持ち始めそうという私の恐れが杞憂だといいのだけど。

「…何故それを?」

「オレもオマエに興味があるんだよ」

興味がある、その言葉に幾らか猜疑を孕んだ瞳を向ける才木さん。
いや待てオマエもって言った?
才木さん、もしかして昨日資料室で陣内さんのことを調べていたんだろうか。

「結衣ちゃんつったっけ?女子高生の妹」

「脅してるんですか?」

彼は少し怒った表情をして言った。
けれど怒りの思いに怯えが混じっている。
それは陣内さんが躊躇なくドーパーを殺してしまえる男だと知っているから。
にしてもよほど身内への情が厚いと見える。

被っているフードを目深く纏い直した私は「地雷は家族、か」と声量を落として呟く。

「そう。脅してるの」

陣内さんは問いに答え、意味ありげな笑みを浮かべる。

「1つ…頼みがあってさ、」

言いかけていたところで3人のスマホから着信音が鳴った。
連絡は、ドーパーへの出動要請。
顔を見合わせた私たちは通達に従い向かうことにする。

「近いな」

そう口にして徐に陣内さんは立ち上がった。

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クロ(プロフ) - た!!!さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しく思います♪なるべく今日中に更新したいと考えておりますので楽しみにしてくださいな (8月23日 16時) (レス) id: 6b6cbcfbd1 (このIDを非表示/違反報告)
た!!!(プロフ) - はじめまして!この作品読むの楽しくてつい一気読みしちゃいました!更新楽しみに待ってます!!! (8月23日 15時) (レス) @page48 id: 07f2555b89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ | 作成日時:2025年8月6日 18時

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