国宝級センター３ (ページ13)

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Aside

演出家「右足もっと高く上げてキープ！

メリハリつけて、素早く移動する！！！」

『はい！！！』

絶賛ミュージカルのお稽古中です。

毎日凄く厳しいレッスンだけど、ブロードウエイの看板を背負ってるわけだからそんなに甘いものではないことは覚悟していた。

その上、主役の座に立たせていただいてるわけだし何がなんでもしがみついていかないといけない。

演出家「Aー！！もっとダイナミックに！

曲に合わせるだけじゃダメなの、ミュージカルなんだから踊りと音楽で全てを演じて観客に伝えないといけないのよ！？

もう一度、頭から！！！」

早朝から深夜まで、最近はずっとミュージカル漬けの日々。

もちろん他のお仕事もあるけど、休みの日はもちろん仕事の休憩時間も返上して今は全てをミュージカルに注いでいる。

今回のミュージカルは、私たちのグループにとってもターニングポイントになる仕事だし、何より私には日本を背負って主役を演じる義務がある。

演出家「そう！身体の伸縮を上手く使って、いい感じよ。

Aの身体のしなやかさはとても素敵なの。あなたは他の人にはない武器を持ってる。

身体を反ったときに出来るこの美しいラインは、この演目で見どころになるわ。」

A「ありがとうございます。」

幼い頃からバレエを習っていたこともあり、身体の柔軟性は誰にも負けない。

生まれつきの才能もあり、大人になるにつれて難しくなる背中や腰、股関節のしなやかな動きが健在なのだ。

「あなただから選んだのよ。」

演出家からそう言われたとき、いつもの舞台とは違う何かが私の中で生まれた。

今回は、グループを売り出すためにも

そして

日本人にもブロードウエイの舞台に対応する力があることを証明するためにも

なんとしてでも大成功させなければならない。

たとえ、

私の大切なものと差し替えてでも。