実験体は逃げ出したい【降谷零】

幻覚と動揺 ページ46

「くそっ…おい。バーボン」


「なんですか集中してくださ…いっ！」


ある会社に潜入して今ばつばつやっているが分が悪く押されている感じだ。


何でこんな多いところにたったの二人だけなんだ…


「さっき爆弾を設置してきたが…」


「もっと早くいってくださいよ！」


問題はそこじゃない


「見付かるのが予想以上に早くて…データを管理しているところにやっちゃって」


「…チッ…しょうがないです。此処は…」


この人数で戦うしかない。





「あと数人残ってるから残党処理はバラけましょう。」


「わかってる。」


俺は上の階へ足を運んだ。




殺すことに慣れてきていることが怖くて俯いてしまった。


「はぁ…」


今は残党処理に全うしなくてはと切り替えるように廊下を見たら


「兄ちゃ…」


驚いた顔で此方を見た後廊下の角を曲がってしまった。


「待って！！話したいことが！」


胸が焼けるように熱い。これは期待したことなのだろうか。それとも自分の穢れが憎くて憎悪を抱いているからなのだろうか


廊下を曲がった先には兄ちゃんがちゃんと待っていた。


「兄ちゃん…俺だよ…今はAて言う名前をもらってさ」


ナイフを持っていた手の力が抜けてカランカランと音が響いた。俺はその反対側の手で服を掴んだ。


「ごめん…お前を一人にして…怖かっただろ」


「うん…うん…」


血の臭いなんて気にならなくなるほど俺はしがみついて泣いた。

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