実験体は逃げ出したい【降谷零】

引きも返すこともない ページ42

「貴方は優しいですね。」


「なにが。」


少し殺気立たせると怖い怖いと言って離れた。


「なにがもなにも。良いんですか？僕の事。」


「……嗚呼。言った方が良かったの？」


公安警察でノックだということだろう。それを俺はジンやベルモットに話さなくていいのかという話。


「いえ。理解が早くて助かります」


軽い脅しでもかけているつもりだろう。どうせ俺がピンチになって逃げようとすれば兄ちゃんを使う。


「兄ちゃんの悲しむことはしたくない…と言っても此処にはいる事態が兄ちゃんは望んでないだろうけど」


初めて守りたいものが出来たんだ。


「守りたい…ですか。」


鼻で笑われたが別にいい。誰が何をしようと俺は俺だ。そこだけは変わらない。


「俺はもう帰るから。じゃあねバーボン」


「…また会いましょう」


「出来れば距離を取ってくれると助かる」





「おかえり！お兄ちゃん！」


「は、早起きだねぇ…」


まだ朝の４時。少し明るいがまだ暗い。


「日本語では"オハヨウ"っていうんだよね！」


「そうそう。昼頃はこんにちはで夜はこんばんわだよ」


物覚えが早くて助かる。そういやジンたちはこの子だけ認識と言うか…安全圏にいるんだよな。


だったらシェリーの家にでも…あーだめだめ。シェリーに迷惑かけちゃう。


やっぱり此処しかないんだよなぁ。せめて自分の身を守れるようになって貰わないと。銃の練習は外国か…


「まず小学校か。」



「日本語頑張ろうな冷」


「お兄ちゃんのためなら私何でもする！！」

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