実験体は逃げ出したい【降谷零】

割りと怖くない ページ41

「もっとドロドロしてるものだと思った。」


「…黙ってやれ。」


カチャカチャと音を立てながら銃の仕組みを確認し、削ったり、新しく別のパーツを付け加えたりして連写速度をあげる。


「確か電動ガンは違法だかなんだか…」


頭に押し付けられる銃はさっき撃ってきたのか少し熱を帯びている。それを無言でグリグリと押し付けられて少し…いや普通に痛い。


「そうだ。あの餓鬼はどうした。」


「…」


「都合の悪いときだけ黙んじゃねぇ。」


一式が揃ったから手を休めてスーっと扉に向かった。


「おい。」


扉に触れた瞬間ドアに軽く穴が開いたよ。銃弾落ちたよお兄さん。


「ジンには関係ないだろ。」


「そんなに兄が恋しいんならてめぇも送ってやろうかぁ？」


俺そういうキャラじゃない。そう残して部屋から出ていった。




「び、びびったぁぁぁ！！」


控え室的な所で体育座りしながらソファに身を委ねる。


何でしょうか。物凄く怖いです。助けてお兄様。愛しのお兄様。


そういや身内の俺ですら兄ちゃんの名前知らないなぁ…仲良かった兄さんなら知ってるかな。


「でもこんな所で会いたくないなぁ…」


同じ組織にいるんだから何時かは会うんだろうけど。


でっかい溜め息をついて珈琲を手に取った。


「…ハイランド・クーラー。まだコードネームを貰ったばかりの新人だと。」


後ろからそっと透き通るような声がして俺に抱きついてきた。


「に……バーボン…」


「初めましてですか。ハイランド。」


会いたくないと言った筈だが。なんだろう。フラグってやつか。回収したのか。

引きも返すこともない→←手続きをしなきゃ

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