実験体は逃げ出したい【降谷零】

商品の泣き声 ページ36

「う"…」


二日酔いのような目眩にガンガンと頭が痛い。そして着ていた服が変わっていることに気がついた。


あまり体が動かない…


そしてざわざわと人が大勢いるようだ。


司会「オークションにお集まりの皆様方。今回は最後に特別な商品を持ってきて参りました！」


商品と言うことはオークション会場か。闇オークション。靴につけていた発信器も意味ないだろうな。


俺の横を通りすぎて行く使用人と商品と呼ばれる小さな子供。


「(たすけて)」


そう口パクで俺に向けて放った言葉。


「待て！待てってば！」


ガシャガシャと煩く檻にしがみつき必死に叫ぶ。あんなに小さい子供が幸せを知らないまま死んで良いわけない。


使用人「黙ってろ！」


警棒のような棒で俺の檻を強く殴った。


子供は連れてかれて会場はわぁわぁと盛り上がる。

体の痺れ、使用人の言葉など気にせず止めてくれと叫ぶ。


「こんな事合って良い筈ない…良いわけないだろ…」


守られてばっかで何も出来ない自分に嫌気がさした。それと同時に涙が溢れて出てきた。


髪がじわじわと変わっていく姿を使用人が驚いたように見た。その後司会者の元へ駆け付けて行った。



クリップを落として。

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