実験体は逃げ出したい【降谷零】

これも全部。 ページ33

降谷side


正直あんな小さな鳥籠に縛りたくはない。だが奴等の目を欺く為には仕方のないこと。そう決め付けていた。


だが直ぐに彼は抜け出した。


俺は安心した。絶望した顔で下を向いて歩くより真っ直ぐ遠くを見て歩いてくれた方が良い。そう思って追いかけなかった。


「お前だけは無事でいてくれ。」


そう願いを込めて。






FBIのお手伝いをしてきてかれこれ数日はたった。


あれからコナンくんたちには会えないけど連絡はちょくちょく入れている。


コナンくんは相変わらず事件に巻き込まれていてとても不安だ。と言うと八水さんよりはましだよ。と返された。


俺は良いんだよ。俺は。


「やっほ。元気してる？」


「エミリーさん。俺は元気ですよ。」


割りと馴染めてもいるし暮らしに慣れた。






「うー……晩飯何にしようか…」


唸りながら帰路を歩いていると路地裏からがさごそと音が鳴り警戒すると只の猫だった。


「ほーら危なくないよー此方おいでー」


屈んで猫に触れようとしていると後ろからバチバチという音と痛みが走った。


「だ、れだ」


俺も人間ではあるので気を失ってその場で倒れてしまった。

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