実験体は逃げ出したい【降谷零】

希望の夜 ページ31

別に死んだって良い。


だけど幸せになってから死にたい。絶望のままこの世から去るのは嫌だ。


此処からでないと。そして海外に逃げて…


それから…それから…


「あ」


ガラスが鏡のようになって自分の顔が見えた。兄ちゃんとそっくりの目の色に髪色。双子のよう。


「あ、あ…」


ポロポロと涙が溢れる。こんなところでゆっくりなんてしてられない。俺は此処から出る。


涙を拭い、ぐっと力を込めるとばきっと音が鳴り、監視カメラが壊れた。


今がチャンスだ。


窓ガラスを蹴るがびくともしないのでこの扉の方を破るとする。


何度か力を入れて蹴ると扉が壊れた。足が痛いが今は逃げることに集中する。


びーびーとランプが鳴り俺はあの薄暗い実験室から逃げ出したことを思い出した。


銃を向けた管理人らしき奴を制圧し、銃を強奪。そして監視カメラを狙撃。


「援護を…援護を呼ばれる前に…！」


管理室から鍵を拝借しドアから出たら外はもう夜だった。


傷だらけの足で又この町の中を走った。






「はぁ…はぁ…」


遠くへ、遠くへと思っていたら見知らぬ路地裏まで来てしまった。


今工藤家に帰るのは適切ではないだろう。此処は頼らず自分の足で…


「誰か居る…」


そっと物陰に隠れて様子を疑うと

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