実験体は逃げ出したい【降谷零】

名付け親だけど子供 ページ3

「お兄さん名前はないの？」


「俺は…ゼロイチハチ。」


昔はどんな名前で呼ばれてたっけ。何十年前の話だから覚えてないと伝える。


「うーん…それじゃあ不便だよね…」


「最後にハチってつく実験体は特別だって聞いたぞ。」


「それじゃあ答えになってないよ…」


と苦笑いをされた。確かに外でその番号を言われたら可笑しいもんね。


「ハチ…水…」


「あっ、八水(ﾔﾐｽﾞ)！」


「苗字？君の発想は面白いね」


真剣なんだけどと脇腹をつつかれる。擽ったさは無いが何かもどかしいのでからかうのをやめた。

「じゃ名前だね」


「A…」


『＿＿＿＿』


色褪せた台詞が頭にちらっと浮かんだがすぐに消えた。何だったんだろう。


「＿＿さん！お兄さんってば！」


「うわ！ど、どうしたの…」


「だからAで良いんじゃないって」


何かあるんだよなぁ…思い出せないけど。


「うん。良いと思う。此からはそう名乗るよ。」


「でも戸籍はどうしようか…」


そうだ。俺は戸籍を消されている。だからいない存在の人間だ。そう思うと心が少し締め付けられた。生きたいのに生きられないのかな。


「君の名前を聞いてなかった。聞いても良いかな？」


「僕は江戸川コナン。」


「よろしく？かな。江戸川くん。」


「コナンでいいよ。」


そのあと珈琲を入れて貰ったが飲めずにいた

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