幸せであれ、兄さん、師範。 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:19,794 hit

名前も知らない女の子ページ7

善「あのっっ!!」

　『えっ』

　後ろから聞こえた大きな声に振り向く。

　視線の先には、金木犀のように鮮やかな黄色い髪を

　した男の子が傷だらけで立っていた。

　後ろにもまた誰かいるようだ。

　『なっ、何？』

　善「はあああああ炭治郎!!この子可愛すぎて死にそ

　う俺!!どうしようどうしよう!!はああああっ!!」

　奇声を上げて顔を覆う。

　手の隙間から見えた顔は真っ赤っか。

　『(熱でもあるのか…？)』

　心配に思った私はその子に近づいてしゃがみ、視線

　を合わせる。

　『あの…大丈夫？』

　善「ひゃああああああ!!」

　金髪の彼は鼻血を吹き出して昏倒した。

　炭「善逸!?」

　嘴「弱味噌だぜ」

　炭「あっ、初対面なのにごめんな？君、名前を知り

　たいんだけど…」

　『私の名前？…不死川A』

　善「不死川アアアア!?嘘!!」

　『嘘じゃない。ホントだよ』

　バッと起き上がって凄まじい速さで後ずさりする。

　『あっ、大丈夫だったの』

　善「Aちゃん!!しっ、不死川って、も、ももも

　ももしかして、あの風柱の妹!?」

　『実弥兄さんのこと？』

　炭「さ、実弥兄さん？」

　『うん。不死川実弥だから』

　目の前の3人組はこれ以上大きくしたら目玉がこぼ

　れ落ちそうなくらいに目を見開いて私を凝視してい

　る。

　善「ねっ、ねぇ、風柱のオッサン、何であんなに厳

　しいの!?」

　『私に言われても…ってか、実弥兄さんはオッサン

　じゃないし。まだ21だよ。

　 …ねぇ、名前教えて？まだ名前きいてない』

　炭「俺は竈門炭治郎！」
　
　善「俺は我妻善逸だよおおお!!結婚しようよおおお

　 Aちゃ～ん!!」

　『ゴメン』

　嘴「俺は山の王の、嘴平伊之助だ!!この俺様と勝負

　しろA!!」

　『いずれする事になるよ』

　善「いずれする事になるってどういう事？」

　『私、風柱の稽古の最終検査役を承ってるの』

　「「「最終検査役？」」」

　『うん。実弥兄さんに叩き込まれたことがちゃんと

　出来ているか確かめるための役。』

　嘴「大変だな」

　『別に大変じゃないよ。私自身の鍛錬にもなるから

　いい機会だよ。』

　私がなにか言おうと口を開いた時、兄さんの声が響

　いた。

　実「Aー！茶ァ入れたぞォー」

　『あ、兄さん

　じゃあ後でね。ばいばい』

　善「(可愛い!!)」