第3話 教室2 ページ3
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「隣の席、だったんですね」
机の縁を、人差し指のお腹でなぞってみる。
今は広い視界の中で黒板を見ることができるけど、当時はどうだっただろうか。もしかしたら目の前の席の子がすっごく背の高い生徒で、見づらかったかもしれない。
音は？今は、遠くから声や楽器の音が微かに聞こえてくるだけだけど、新校舎が出来る前ならもっと騒がしかったはずだ。
──どれだけ想像しても、自分の記憶になり得そうにない。
机から指を離して、隣に顔を向けた。
彼もこちらを見ていた。
「やっぱり、知り合いだったんですね」
「…」
「さっきの様子をみると、私の記憶のこともご存知、ですよね」
「…うん」
もしかして私たちは友人だったのかもしれない。彼の悲しい顔に、そう思った。
そして罪悪感が生まれた。
もし友人だったなら、忘れてしまったことが申し訳ない。一瞬だけ、友人でないことを願った。
「…あ」
ふと思い出して、私は慌てて彼の方に体を向けた。
「ご存知かと思うんですけど、改めて」
元クラスメイトだとしても今の私には初対面。だからこその必須行事を忘れていた。
自己紹介。
「ソ・Aです」
軽く会釈して手を前に出す。彼は私の手をじっと見つめて、すぐにその手を取った。
「ムン・ビンです」
そう言った彼は今日何度目かの悲しい笑顔を見せた。
私のせいだ。
「ごめんなさい、私、何も覚えてないんです」
「うん、聞いてる。同窓会、行かなかったじゃん」
高校のヤツらみんな心配してたよ。
ムン・ビンさんが言う。
同窓会…その存在は初耳だった。
そうか。だから高校の同級生から確認のメールが来ていたのか。事故後、体調が落ち着いた頃、携帯を見たとき、身に覚えのない連絡が何通も入っているのを不思議に思っていたあの時を思い出した。
「ちょうど1年前、事故にあったんです。同窓会の時は、多分病院にいて…」
「うん、体調は良さそうで安心した」
それから、特に特別なことは無かった。
ムン・ビンさんは私を気遣ってくれているのか事故のことは聞かなかった。ただ最近の私についてだけ軽く聞いてくれて、私も甘えて「なんとか慣れてきました」なんて言って笑ってみて。
逆にムン・ビンさんに質問もした。今は何をしているのか。そうしたらなんと私の大学からそう遠くない学校で同じく大学生をしているようで、近所のお店情報で会話が盛り上がる。
気づけばおやつの時間。ふわつく気持ちを途切らすかのように2人の携帯が同時に鳴った。
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えす(プロフ) - かにかまるんさん» そう言っていただけてうれしいです！ありがとうございます。頑張ります！ (2020年12月2日 18時) (
レス) id: a45323d796 (このIDを非表示/違反報告)
かにかまるん(プロフ) - ASTROのお話少ないので嬉しいです!!これから更新楽しみにしています！主様のペースで頑張ってください!!応援してます…!! (2020年11月30日 1時) (レス) id: bc18b0ebfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：S | 作成日時：2020年11月23日 2時
