【キミガシネ】ケイジくんの危険な夏の恋 (ページ2)

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2回目の告白。ページ2

夏だ。

「すきです、つきあってください」

そう書かれた拙いラブレターが風に押されて机から落ちた。自室の中に蒸し暑い風が入ってくるが、サガワにとってそれよりも重要なことは、そのラブレターが落ちたことだった。

「汚れる汚れる」
すぐに拾い上げ、汚れていないか確認する。何も変わっていないそれに一安心して、ベッドに腰掛けた。
人生で初めて貰ったラブレターだった。

あれは小学校四年生の時。
悪戯かと思って放置していたとある出来事。

朝、学校に来ると毎度の如く上靴に被せられたノートの一ページ。乱雑に破られたそれには、地図と赤色のばってん印が刻まれていて。

今どきそんな宝探しみたいなことしないよと無視し続けてその日で一週間だった。

毎日毎日、靴箱の上に放った宝の地図。
私が学校に来るまでに上靴の上にかけ直している暇人がいるのには一種の興味と恐怖を覚えたものの、これが中々ミステリアスで、真夏の憂鬱な登校道を歩くには良い理由だった。

ああでも、そろそろ限界かもしれない。

そう思ったのは翌週の朝。

いつものように宝の地図を靴箱の上に放ってしまおうとした時、遂に湧いたのだ。「宝物」への興味が。

こんなに手間をかけてまで見せたいものって？
誰がこんな面倒なことを続けているの？

もしかしたら、これでわかるかも、なんて思ってからの行動は早かった。祖父からスコップを借りて、動きやすい服に着替えて出発するだけ。
ばってん印は近所の森を指していた。
父に連れられて行ったことがある場所だったから、案外迷うことなくたどり着けた。

川のせせらぎを聞きながら、スコップを土に突き刺す。

ようやっと掘り出したのはお菓子の箱だ。硬い材質で、お土産ものの箱をそのまま使ったような感じがする。あまりにも平凡なインパクトに少し拍子抜けしたが、気になるものは気になるので中身を早々に確認することした。

ぱかり。

そうして見つかったのが、冒頭のラブレター。

差出人不明、おそらくサガワに向けて贈られたそれには、全くもって犯人に繋がるものはなかった。
返事も返せないし、学校の人だとしても気まずくて仕方がない。

わかるのは字が割と綺麗なことくらいだった。

ああ、この間にもこの手紙を書いた人は返事を待っていたりするのだろうかと真剣に悩んでいたあの頃から結構経ってしまったが、今でも気になっている。

五年がたち、中学三年生になっても。