white07 ページ7
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ガラガラ、扉を開けて中を見回す。人影はない。
「良かった、誰もいない」
ほっと胸を撫で下ろす。私は鞄を適当なところで置いて、床に座り込んだ。
あの後私は普通に教室へ行ったら平山に捕まると予想し、1年2組でなく、資料室というプレートが提げられた教室へやって来た。
幸いにも先生とかは誰もいないから、チャイムが鳴るまでここに居られると思う。
昨日平山に妨害されたこと……本を読みながら音楽を聴く、という事ができる、1人の空間があって良かった。
私はその場に寝転がり、音楽プレイヤーと本を取り出してイヤホンを耳にする。
昨日途中まで聞いていたK-POPの曲を再生し、音量を大きめに設定。完全にひとりの世界へ。
♪〜♪〜♪〜…♪〜♪〜…。
すっかり本の内容に夢中になっていたし音楽を聴いていたから、そこへ誰かがやって来たことなんて知らなかった。
急にイヤホンが外れた時、初めて気が付いた。
「何やってるの?」
声がして起き上がると、昨日の先生が立っていた。
え、何でこの紙飛行機の人がここに?もしかして、ここ使うの?
何を言ったらいいか分からなくて、思ったまま出た一言。
「……紙飛行機の人だ」
私の言葉に、先生は苦笑した。
「忘れてって言ったでしょ」
「……忘れられませんでした」
まぁ、とにかく先生が来てしまったんだから仕方ない。
私は仕方なく音楽を停止して本と一緒に鞄の中に仕舞う。
「ここ、使うんですよね?」
「え、あー……使うって言えば使うけど」
先生が曖昧な返事をしたから、私はチラっとそっちを見た。
「別に、オレは逃げに来ただけから、いても良いよ」
「……え、いいんですか」
「うん。廊下や教室にいると生徒に捕まっちゃうし、どうも落ち着けなくて」
「ああ、そうでしたね」
答えながら、昨日のことを思い出す。
とりあえず、ここに居ていいんだから居させてもらおう。ラッキー。
私はさっきの位置に座る。
「キミ、1年生だよね?」
「はい。昨日も、昇降口で偶然先生が捕まってるとこ見かけたんだけど、すごくうるさかったです」
私がサラっと言うと、先生は何故か申し訳なさそうに「ごめんね」と謝る。
「別に、先生が悪いわけじゃないと思うので、謝らなくても……」
「いや、でもさ……ごめん。これからは、出勤する時間ずらすよ」
「……はぁ」
ため息を吐きながらも、思っていたより話しやすい人だと思った。
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めぐむ(プロフ) - Sakuraさん» Sakura,読んでくれてありがとう! (2017年12月28日 10時) (レス) id: b32ef37eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Sakura(プロフ) - 可愛いお話(*^^*) (2017年12月27日 18時) (レス) id: 085712002d (このIDを非表示/違反報告)
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