コイイロパレット。【オリジナル】 (ページ18)

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時間は過ぎ、あっという間に放課後になった。

帰り支度を済ませて3組へ行こうとしたら、既に汐崎は廊下にいた。

「速いね」

「まぁな」

特にこれといった弾んだ会話はしてないけど、二人でテキトーに喋って玄関へ向かう。

「あ。椎名さん」

その途中で成瀬先生に会った。私が誰かと一緒にいることを珍しいと思っているのか、少し驚いた様子。

「英語の授業の後、オレのこと笑ってたでしょ」

「いえ、笑ってません」

見られていたのか。

「そう？なら良いけど。気を付けてね」

そう笑いかけられ、軽く頭を下げる。

先生が去った後、隣で汐崎がため息を吐く。

「しかし、オレアイツ苦手かも」

「誰、アイツって」

「さっきの英語教師」

「成瀬先生か。別に悪い人じゃないでしょ？」

私が聞くと、汐崎は顔をしかめた。

「自分が女子に人気なのを自覚してる、ああいう態度が何か気に食わないというか」

「……まぁそうだけど、教師の中じゃ話しやすいと思う。年近いし」

「もしかして椎名、成瀬ファン？」

「なわけ」

「だよな。椎名が男に騒ぐタイプじゃなそうだし」

「当たり前でしょ。クラスの女子みたいに、顔が良ければ誰でも騒ぐような人、私苦手なの」

「朝会った時に一緒に居た子は、そういう人っぽいけど」

「美緒は確かに私の苦手なタイプだけど、何か嫌いになれない子なんだよ」

「分かんねぇな」

とりあえず、コンビニでポカリとゼリーを買って平山の家へ向かうことにした。

高校の最寄り駅から電車で5分の駅。その駅から徒歩で10分というかなり近い所に、平山の家はあった。

バスケットゴールが置いてある広い庭つきの一軒家。

「これが平山の家？」

「うん。きっと、今頃熱にうなされてるんじゃねぇの？」

けど、熱あるのに、汐崎と昼に連絡とってたよね。

汐崎が玄関前のインターホンを鳴らす。

私は汐崎の後ろでじっとしてる。

すると、ガチャっとすぐに扉が開いて、うるさい声が耳に届いた。

「よう！オレ、ずっと待ってたんだよ！Aも来るとか言うから、楽しみでさ！」

Tシャツにジーンズというラフな格好で出てきた平山。一見、熱があるようには見えない。

「お前なぁ、もう熱は大丈夫なんかよ」

「さっき測ったら37度7分だったけど、大丈夫！」

まだ熱あるんじゃん。よくもそれで、こんな通常通りのテンションで喋れるなぁ。

とりあえず玄関じゃ風に当たって病人に悪いから、家の中に入れさせてもらった。