日の当たる世界 ページ21
黒牙side
黒「確か、此処だよな。」
辻「黒牙さん!探偵社社長から話は聞いています。奥で先輩が待っているので来て下さい。」
辻村さんがいつもと変わらぬスーツ姿で俺を呼んでいた。
険しい顔をして、睨んでいる。逃げ出したことを怒っているらしい。
奥に行くと椅子に座った堅物眼鏡こと坂口さんが鎮座していた。
坂「…お久しぶりですね。黒牙さん。」
黒「俺はあまり会いたくなかったです。でも、資格を得に来ました。俺はあなた達の監視対象ですが、1人の人間でもあります。正直、閉じ込められた生活を続けたいとは思いません。」
坂口さんの目が鋭くなる。目を細め思案しているに違いない。
坂「あなたの逃走癖には手を焼いてます。自由にすれば此方としてはとても助かります。」
黒「ならッ!」
坂「ですが!!ですが、あなたは特一級危険異能力者です。その意味を深く理解していますか?野放しにしておくと市民にも危害が及ぶ。それほどの異能力を持っています。わかってますか?」
わかっている、今までずっと考えてきた。
坂「あなたの気持ちはわかります。20年間私達があの部屋の中であなたを閉じ込めていたから。外に出ない20年間を過ごしてきたあなたの気持ちはわかっているつもりです。」
黒「…俺は20年間の間に何をすべきだったんですか?何も知らなかった!何もわからないままなにもしないで過ごしてきた!でも、俺は日の当たる世界で過ごしたい。」
自分の感情をここまで出したのは初めてだったかもしれない。
暫くの間部屋の中を沈黙が支配していた。
坂口さんは目を閉じている。
数秒にも満たない時間が嘘のように遅く感じた
坂「仕事上の形式はここまでにします。これから話すことは私個人の意見です。よく、聞いて下さい。」
真っ直ぐに視線を向けられる。交差した先にあるのは互いの目。
坂「あなたの異能力はその手袋があればある程度は制御が出来ると聞いています。手袋がある限りは普通の異能力と同等です。ですが、もしその手袋が無くなってしまった場合はどうなるのですか?触れるもの全てを灰にしてしまう。恐ろしい異能力です。だけど、私達はあなたを閉じ込め過ぎたのかもしれません。そこは反省すべき点だと思います。……これをあなたに渡します。定期連絡は欠かさないで下さい。」
渡されたのは白い携帯。
黒「これは…?」
坂「お仕事、頑張って下さい。」
黒「……自由をくれるんですか?」
坂口さんは頷く。
俺は携帯を握りしめた。
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田中太郎 - 面白かったです!更新応援しています (2018年7月7日 16時) (レス) id: 552f954393 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 真天晴夏さん» ガチですか!!!?こんな嬉しいことはありません!是非ともお願いしたいです! (2018年6月26日 17時) (レス) id: b341bfb04d (このIDを非表示/違反報告)
真天晴夏(プロフ) - 私も暇だったら書いて見ます下手だけど (2018年6月19日 22時) (レス) id: aeb99a7d73 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - マジですか!?教えていただきありがとうございます! (2018年5月22日 23時) (レス) id: b341bfb04d (このIDを非表示/違反報告)
フユキ(プロフ) - アナログでイラストを載せる場合もデジタルの場合もヘルプから画像アップローダーを押してサイトに申請を出さなければいけません。だいたい次の日の午後4時〜6時までには申請通ると思います。申請が通るとURLも発行されるのでそれを小説に貼り付ければ完了です。 (2018年5月22日 23時) (レス) id: e79ac6a0b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柏餅 | 作成日時:2018年5月18日 21時