いっそ嫌ってください【鬼滅の刃】

ろく ページ7

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「っ、わ……」



「目、覚めましたか」







私が起き上がろうとすると、しのぶさんは
相変わらずニコリとも笑わずそう言った。




どうやら気を失ってしまったらしく、
私は自分の部屋の布団で寝かされていた。




……やっぱり、怒ってる、んだと思うけど……
何で怒ってるのかがわからない……




そんな私を気にせず、しのぶさんは変わらず
不機嫌そうな顔で言った。









「なぜ、反論しなかったんです」




「エッ 」









私が驚いたような表情になると、しのぶさんは
「咲さんのことです」と続けた。



……私はストーカーのことを、しのぶさんには
言えていない。



言った方がいいのはわかってるけど、
騒ぎを大きくしたくなかったから。




一応少しの人には言ってあるけど……。




そんな私の気持ちとは裏腹に、しのぶさんは
続けた。









「……もしかして、ここを辞める気ですか？」




「いっいえ、そんな」




「……私に何か、隠してませんか？」









じっ、とした目でこちらを見つめてくる
しのぶさん。





そんな彼女の目は、どこか不安げに揺れていた。





……そんな彼女に、本当のことなど言える訳もなく。









「わ、、私は……鬼殺隊を、辞める気は……
ありません」




「………なら、よかった」









絞り出すような声で、私が否定すると、
しのぶさんはぽろり、と言葉を零した。




その顔は、安堵に満ちていて、何だか
泣きそうにも感じた。









「……しのぶさん？」





「いえ、大丈夫です。
すみませんね……私は、貴女のことになると、
まだまだ未熟者なようです」









彼女は私の手をぎゅっ、と握りしめた後、
私の顔も見ずに呟いた。












「どうか、嫌いにならないでくださいね」









寂しそうに笑うしのぶさんに、私は「はい」
としか言えなかった。









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