貝は泳ぐ ページ6
再び口を開こうとしたAの声を遮るように、勢いよく扉が開く。
｢そこまでだ、十道A。｣
｢あら、流石に銃声はまずかったかしら。｣
現れた沢田を筆頭とする他守護者達の登場に、Aは両手を頭より高く上げる。
｢でもこれは正当防衛よ？無抵抗の私に襲いかかって来たのはそちらの方だわ。｣
あっけらかんと笑って言ったAに獄寺は思わず声を荒らげる。
｢どこが正当防衛だ！どう考えても過剰…｣
｢待て、獄寺。｣
掴みかかりそうな勢いの獄寺を片手で制した沢田は言った。
｢しかし、十代目…｣
｢いいから。｣
｢…はい。｣
｢まずこちらの非礼を詫びよう。すまなかった。だが、ここまでする必要があったのか？｣
Aに改めて向き直った沢田は眉をひそめて言う。
Aはそれを小さく笑うとゆっくり口を開いた。
｢…ここまで？ここまでって何？こっちは殺されかけたというのに、私は誰も殺していないわ。むしろ私の寛大さに感謝して欲しいくらいよ。｣
その通りと言えばその通りのマフィア界での常識。
だが、人間としては到底受け入れられるものでは無い。
｢お前は、骸の部下が潜んでいることに気付いていた。なのに何故、知らないように振舞ったんだ。｣
何故六道の強力な幻覚をこうも簡単に破ることが出来たのか、それはわからないが沢田は確信していた。
そして、Aもそれを否定しなかった。
｢話し合いをする相手を疑うなんて、印象的に良くないでしょう？だから、あなたの印象は今のところ最悪よ。｣
Aは困ったような顔をしているが、沢田のボンゴレの血は告げていた。
Aは、この状況を楽しんでいる…
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作者名：もこ | 作成日時：2019年2月8日 19時
