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ファミレスに入った私は大きく深呼吸をした。
冷静だったとはいえあんな大胆な行動をしてしまい心臓が激しく踊っている。
しんちゃんから離れたのはこれが初めてだった。
「坂田さん…帰ったんじゃなかったんですか?」
「いやそれがすぐ側のガルバのキャッチに捕まってやっと逃げて来たんだよ。そしたらなんか痴話喧嘩始まってんじゃん?」
「……あれが同棲中の彼氏です」
こんな形でしんちゃんを紹介することになるなんてな。
いや、そもそもこの街の人にしんちゃんを紹介するつもりはハナからなかった。
それはずっと分かっていたから。
しんちゃんは決して自慢できるような彼氏ではないということを。
「先生今日どうすんの?帰って話し合いすんの?」
「……本当はそうしたいんですけどね…怖いんです」
家に帰ったらきっとしんちゃんは激怒しているだろう。
目は覚めたらしく先程まで鬼のように着信がきていた。
仮に怒っていなかったとしても、私はしんちゃんに逆らえない。
またしんちゃんから抜け出せなくなる。
またズルズルと歪な関係を続けてしまう。
「坂田さんがあそこで止めに入ってくれなかったら私はきっとしんちゃんに謝ってました。そして、また明日からいつものようにしんちゃんの忠実な犬になっていました」
「けどそれを冷静に分析してるってことは、その関係が嫌だって気づいてんだろ?」
「………しんちゃんに捨てられるのが怖くて逃げてたんです。自分の感情全てを押し殺して…そうすることでしか私は彼を繋ぎ止められない」
ずっとずっと傍にいたかった。
離れてる間もしんちゃんだけを考えていた。
でも貴方は違った。
離れても私じゃない誰かを求めていた。
私を切らない理由はただ1つ、私はしんちゃんの良いカモだから。
「本当に本当にしんちゃんが好きだったんです…いつか私だけを選んでくれるって信じていたから…」
私はこの気持ちに終止符を打たなければならない。
私はこの先しんちゃんに甘い言葉を囁かれても信用できない。
それでも私たちは長い時間を共に過ごした。
そこにはもう情が残っている。
「A」
初めて坂田さんに名前を呼ばれた。
思わず顔を上げると坂田さんは頬杖をつきながら私の顔を見つめていた。
「お前さ、本当の恋愛っての知ってるか?」
本当の恋愛。
もちろんそんなものは知らなかった。
でも多分私がしてきたものは本当ではないのだろう。
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凛 - とても良かったです!ゆっくりでもいいので更新待ってます! (2022年12月17日 17時) (レス) @page37 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 瑠々亜さん» 返信、ありがとうございます!とういうことでしたか…なるほど。頑張ってください!応援してます! (2019年9月2日 20時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - のん@天使から墮天使さん» コメントありがとうございます。ちゃん呼びはただの愛称なので深い意味はないです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 亜水さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 最初自意識過剰かなと思ってしまったけど…読んでみて良い話!夢主はなんで恋人のことを[〜ちゃん]と呼んでたのか知りたい…。夢主、辛いだろうなぁ…僕は恋人なんぞ居ないから分からんが…別れてしまえ((酷い 銀さんとくっ付けぇぇぇ(( 更新頑張ってください! (2019年8月25日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年8月17日 21時