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マンションを出ると背後から物凄い勢いで腕を掴まれた。
振り返ったそこには息を切らしたしんちゃんがいて、私の腕を強く掴んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ…!ちょ、おまっ…待てって……はぁ、はぁ…」
「っ……離してよ……」
私はしんちゃんから顔を背けた。
嫌だ、見たくない。
なんで追いかけてきたの?
突き放すなら突き放してよ。
目の前で浮気されて、今のしんちゃんは本当に最低だ。
それでも私は馬鹿だからそんな貴方が追いかけてくれたことに安心している。
どうしようもないくらい私は盲目になっていた。
「今日遅くなるって言わなかったか…?!」
「……だったら、ほかの女の人を家に連れ込んでてもいいの…?」
涙が邪魔をしてくる。
泣きじゃくる私はなんて無様なんだろうね。
しんちゃんはキレた口調で私の肩を揺さぶった。
「帰ってくるならそう連絡しろよ!!それに誤解だから!!俺は別にあの女を────」
「ねえ、しんちゃん…私、しんちゃんの言葉信じられないよ…?」
誤解なんてうそ。
私への愛はとっくに冷めていて他に女がいたことなんて全部全部分かってた。
でもしんちゃんと別れるのが怖くて目を背けてた。
その結果がこれ。
目の前で他の女とイチャついていて、私には見せてくれない一面を見せている。
しんちゃんにとって私はATMなだけだ。
けれどそうさせてしまった原因は私にある。
お金でしんちゃんを繋ぎ止めようとしていたのも事実。
そうでもしなきゃしんちゃんは私の傍から離れて行ってしまうでしょ?
「だいたいお前が悪いんだぞ?!仕事ばっかして俺のこと何一つ考えないで!!お前より良い女は沢山いるのに俺はお前を選んでやってんだぞ?!」
しんちゃんは私が自分に自信が無いことも、彼を振れないことも分かっている。
だからこそしんちゃんは自分が優位な立場であることを自覚していた。
「俺がこうなったのも全部お前のせいだ!ほらA。謝れよ?お前が謝れば俺はずっと傍にいてやる。ずっとずっとAだけの傍にいる」
これが私が望んだ愛の形なんだろうか?
違う、違う。
でも、しんちゃんには逆らえない。
ねえ、だれか私を止め──────。
「はいそこまでー。とりあえずその他の女をベタベタ触ってた手はしまっとけー」
腑抜けた声が頭上から聞こえた。
そして肩が一気に軽くなる。
しんちゃんを私から遠ざけたのは、もう帰ったはずの坂田さんだった。
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凛 - とても良かったです!ゆっくりでもいいので更新待ってます! (2022年12月17日 17時) (レス) @page37 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 瑠々亜さん» 返信、ありがとうございます!とういうことでしたか…なるほど。頑張ってください!応援してます! (2019年9月2日 20時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - のん@天使から墮天使さん» コメントありがとうございます。ちゃん呼びはただの愛称なので深い意味はないです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - 亜水さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてとても嬉しいです(><)更新頑張ります! (2019年9月2日 14時) (レス) id: d64c66c7f1 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - 最初自意識過剰かなと思ってしまったけど…読んでみて良い話!夢主はなんで恋人のことを[〜ちゃん]と呼んでたのか知りたい…。夢主、辛いだろうなぁ…僕は恋人なんぞ居ないから分からんが…別れてしまえ((酷い 銀さんとくっ付けぇぇぇ(( 更新頑張ってください! (2019年8月25日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年8月17日 21時