こんなにも胸は苦しいんだ【坂田銀時】

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しんちゃんと喧嘩した私は家に一人でいるのが辛かった。
明日は午後出勤だし少し夜道でも歩いて頭を冷やそう。
春とはいえまだ夜は冷えるから丁度いいかも。

私はマンションから出てしばらく歩き公園に行った。
夜の公園はとても静かで穏やか。
ここなら誰もいないしひと息つけそう。

私はベンチに座って先程の出来事を振り返った。
色々思うところはあるけどその中でしんちゃんから言われた"仕事人間"の言葉が脳裏に焼き付いている。
やっぱりそう思われてたんだね。

私にとって仕事は国民を助ける栄誉あるものだ。
だからこそ仕事には熱中してしまう。
と同時にそこにはしんちゃんへの想いも込められていた。

例えば近年多発しているバイオテロ。
もしそのウイルスにしんちゃんがかかってしまったら？
しんちゃんの生きる世界を救うために私はこの仕事をしている。
あなたのことを守りたいから。

仕事とプライベートは両立させているつもりだった。
会社自体もブラックではないから定時には帰っているし、家事も自炊もちゃんとしている。
でもそこにいつもいないのはしんちゃんだよね？
たとえ仕事をしないでずっと家にいたとしてもしんちゃんは私を置いて平気で出ていくでしょ？



「姉ちゃん一人？」



俯いていると視界に誰かの足が入った。
声をかけられ顔をあげる。
そこには知った顔があった。



「……あれ、坂田さん？」



「あれ、じゃねーよ。ったく最近物騒なのになんでこんな夜に一人でここ来てんだ」



坂田さんは私に構わずどかっと横に座った。
すると私の手元に缶コーヒーを投げる。
思わず受け取り坂田さんを見ると彼はおしるこジュースを飲んでいた。



「え、なにしるこがよかった？」



「……いえ、そうじゃなくて……ご馳走様です」



缶コーヒーの温もりが、今はとっても心地よかった。

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