【JN】長男と日本人ラッパー【男主】 (ページ50)

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急に黙った僕に姉は続けて言った。

《前までの世良だったらさ、ほんと上っ面って感じやったけど。なんか今は本当って感じするよ。めっっちゃ小さい頃の世良って感じ。わかる？theクソガキって感じ。無邪気で周りの人の目なんか気にしないで楽しい時に楽しい〜ってゲラゲラ笑ったり。嫌なことあったらすぐウェ〜ンゆうて泣いたりww》

『なんやそれ。一言余計だわ。そもそも俺泣かへんし』

電話の向こうから聞こえる姉の笑い声になんだか悔しくて言い返す。

《うん。今は泣かへんけどさ。ほんと小学校低学年ら辺は毎っ日の様に泣いてたやん。それがいつしかさ、一切泣かなくなってんの。いつの間に大人になったんだか笑
あ、違うか。大人の振りしてたんか〜。もっとあの時みたいに気楽にしたらええのに》
　

‥‥‥‥。

『‥‥なに。それ言いたかっただけ？俺もう明日朝早いから寝たいんやけど』

《はいはいごめんねスーパースターにむ〜。
‥‥ね、最後に一つだけ聞いてもいい？》

『なに。』

《なんかいい人に出会ったん？あんたの中身見せれるような人に。》

『‥‥分からん、‥‥‥まだ』

《‥‥ふーん。ま、ええわ。
‥‥見せれるといいね〜その人に、あんたの泣き顔wwww》

『だーかーら。泣かへんし。そもそも泣き虫ちゃうし。じゃ、ほんとにもう寝るからおやすみ〜』

《wwwんー。おやすみ〜また連絡するわ〜》

電話が切れたスマホを下に下ろす。
相変わらずベッドの横から見えるソウルのネオンは華やかでなんだかしみったれた気持ちになった僕と反比例していて気持ち悪かった。

僕は泣かない。
活動を始めてからライブでもなんでも感動する場面は何度も何度もあったのに、涙は出なかった。何でかは分からない。でもちゃんと泣く理由があるのに出ない涙はどこに消えてしまっているのだろう。いつかファンから感情のない人なんて言われてしまうのかな。

僕はその姉が言う幼少期に一生分でも泣いたんだろうか。
物心がついてない内の自分の話をされるのは少し苦手だ。
だって、まるでそれが本来あるべき自分みたいだから。しかもその時の方が良かったなんて言われてしまうとじゃあ今の僕はどうなってしまうんだろう。どこへいけばいいんだろう。自我の無い頃の自分に憧れるなんて馬鹿みたいじゃないか。

自分が1番、自分の事を分かっていないっていうのに。

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