番外編[たとえばシンデレラ��] (※5000,6000hit記念) ページ30
問いただす前に。
どん、と突き飛ばされてカボチャの馬車に転がり込む。
慌てて起き上がった時にはもう扉が閉まって走り出していた。
「おい、A！？」
「…………幸せになってね。───」
最後に囁かれた名前がどっちだったのか。
でも、Aは綺麗に笑っていた。
……憎たらしいくらい、綺麗に笑っていた……。
＊
というわけでなかば無理矢理にお城に行かされた俺はふて腐れていた。
「なんだよ、Aの奴。あんなふうに決めつけやがって────」
「そ、そこの美しい人！ どうか私と踊っていただけませんか！？」
「──────ってアスナああああ！！？」
閃光様が、王子姿で目の前に立っている。
これぞまさに男装の麗人ってやつデスネ！？ とたいがい俺も混乱してきた。
「あなたのような人に巡り会えるとは、私はなんて幸せ者なんでしょう！」
「い、いやあの。性別的には組み合わせとして間違ってないけどなんだこの展開！？」
「さぁこの手をお取りください、シンデレラ！ 今夜は踊り明かしましょう！！！」
「お、俺はダンスなんて踊れないぞー！！！！！？」
恥を忍んだ絶叫は華麗にスルーされて引き摺られ、あっという間に腕を組み、踊る体勢を取らされる。
「うわあああ公衆の面前で恥をかくフラグがああああぁぁぁ…………って、あれ？ 踊れてる？？」
「とてもお上手ですよ、シンデレラ」
「そ、そりゃどうも。夢だからか？ なんて都合のいい……」
まぁでも助かった、とワルツに集中する。
だから気づかなかったのだ。周囲からグサグサ突き刺さる嫉妬の視線と…………なにより、アスナのとろけそうな瞳に。
「シンデレラ、あの……」
「ん？」
「私は本当に、あなたに会えて良かったと思っているのです。願わくばこの胸の想いを伝えて、ずっと一緒にいたいくらい」
「………………っっ」
「誰よりも幸せにしてみせます。だからどうか、この手をとって…………？」
うわあああそんな潤んだ瞳でこっちを見るなあああああと内心で絶叫する。
破壊力がヤバい、本当にヤバい。一も二もなく頷いてしまいそうだ。
────────でも、
『………………幸せになってね。───』
“そうして王子様とシンデレラは結婚し、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし……”
物語の通りなら。
もしも、シンデレラがそうしたようにこの手を取ったなら。
…………きっと、その先の未来に“妖精(A)”はいない。
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です！！もう更新してくれないのでしょうか？続き楽しみに待ってます！ (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます！！！ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…！前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kizuna | 作成日時：2017年4月9日 16時
