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疑念は、キリトを見て確信に変わる。
……彼もまた厳しい視線で扉を見ていた。
「？ Aさん……？」
「…………」
不意に、ゆっくりと立ち上がった私を見て首を傾げるシリカ。
人差し指を唇に立ててあて、静寂を要求し────
「────誰だっ！！！」
一足飛びに扉まで行き、その勢いのまま扉を開ける。
……と、なかなか聡い奴らしく、おそらく盗み聞きをしていただろうプレイヤーはこちらに背を向けて走り出していた。
(……でも、見えた)
カーソルの色。
加えてこのタイミングでの盗聴となれば、どこのギルドかは明白だ。
「聞かれてたな」
「え！？ で、でも、ドア越しじゃあ声は聞こえないんじゃ……」
「聞き耳スキルが高いとその限りじゃないんだ。そんなの上げてる奴は……なかなかいないけど」
まぁでも、見当はついてるから心配ない。
背後でキリトが冷静に呟く。
私も、一応あたりを見回してから扉を閉めた。
……振り返って、シリカを正面から見据える。
「……大丈夫。明日になれば、わかる」
「────」
何かを言いかけて。
言葉が見つからない、というようにシリカが口を閉じる。
その強張った表情を見て、ふっと苦笑した。
「…………って言っても、安心なんてできないよね」
「あ、えと、その────」
「…………いいよ。だから子守唄がわり、と言ったらなんだけど」
一曲、どう？ と鳩笛(オカリナ)を実体化させる。
シリカはぱっと表情を明るくした。
「もしかして、Aさんは音楽スキルを？」
「……当たり。そこそこのレベルになってきたから、ちゃんと聴ける出来だと思うよ」
「さっきの聞き耳と一緒で、そんなの上げてる奴なかなかいないってスキルだけどな」
「……キリトうるさい」
外野の余計な一言で多少ムッとしたものの、シリカからぜひ聴きたいです！！！ と満面の笑顔を向けられて機嫌をなおす。
「ん。それじゃ────」
そう言って、そっと鳩笛(オカリナ)を吹く。
柔らかで優しい旋律。
現実の恐怖も心配も忘れて、安らかな眠りにつけるような。無意識下の悪夢すら、忍び寄る余地がないくらいに。
……そんな願いを込めて。
私は鳩笛(オカリナ)吹き続けた────
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です！！もう更新してくれないのでしょうか？続き楽しみに待ってます！ (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます！！！ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…！前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kizuna | 作成日時：2017年4月9日 16時
