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だからそれが……と言いかけてため息に変える。もうさっきのような問答は御免だ。
「……じゃあ、一応の方針は決まったし、私はこれで部屋に戻っ────」
「え」
コンコン。
……と、私の言葉を遮るようにノックの音が響く。一緒顔を見合わせて、それからキリトが扉を開けると。
そこに立っていたのはシリカだった。
「あ、あの、キリトさん。四十七層のこと教えてほしくて。良かったら、お部屋で────って、あれ。Aさん……??」
「……あー」
恐らくは並々ならぬ決意で捲し立てていたシリカが、私の顔を見て狼狽える。それでいろいろと察して、誤魔化すように咳払いして立ち上がる。
「……えーと。とにかく、明日はそんな感じで。“打ち合わせ”は終わりだよね? 私は部屋に戻るから──」
と、わざわざ打ち合わせを強調して去ろうとしたのに。
……なぜかくんっと引っ張られる。
「……え。キリト?」
「行くなよ」
見上げる角度で。
真剣な表情と、真摯な声。
いきなり何を……という文句が喉につかえて出てこない。
「行かないでくれ。じゃないと────俺が、誤解されるじゃないか!!!」
「……………………………………………………は?」
けれど、続く主張に私は頭痛を堪えるハメになった。ちなみにすべて小声でのやりとりな為、シリカには聞こえていない。
「シリカと二人っきりになんてなったら、女の子を部屋に連れ込んでる幼女趣味の変態野郎になっちゃうだろ!!? だから居てください、Aさん!!!」
「…………………………………………………………………………」
もはやツッコミを入れる気力もない。
私は果てしなく深いため息をついて、力なく腰を下ろした。
それにホッとしたらしいキリトがシリカに話しかける。
「ごめん、えーと、それで四十七層のことだよね? どうぞ、入っていいよ」
「お邪魔します……」
シリカがおろおろしながら入ってくる。
……大丈夫、心配しているような関係じゃないし、さっきのも全然甘い展開系じゃなかったから。
と言いたいがこの場では無理なので、私はひたすら記録結晶を使って四十七層攻略会議を繰り広げる二人から視線を逸らして空気ですアピールを決め込む。
────結果的には、それが良かったのか。
(…………………?)
ふと、違和感を覚えた。
廊下に続く扉の外。息を潜めた誰かが、ひたすらに何かを探っているような…………。
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です!!もう更新してくれないのでしょうか?続き楽しみに待ってます! (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます!!!ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…!前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kizuna | 作成日時:2017年4月9日 16時