断片*1-2 ページ3
「まぁ、彼がリアルの自分に似せてPCをつくるとは限らないし、この写真とβでのキャラを見比べるにその可能性は低いわけだが。……それでも、彼についての情報がまったく無いよりマシなのではないかね?」
彼はそう言うけれど。
実際には、顔写真を見ることとキリトを見つけることは繋がらないだろう。
けれど、その時は。
“もう会えないかもしれない”という可能性が嫌で、
胸が締めつけられるように痛んで、
正常な判断ができなくなっていた。
また会いたい、と願ってしまった。
「……っ、やっぱり見たい!」
藁にもすがる思いで手を伸ばす。
受け取った写真を恐る恐る覗きこんで────
そこに映っている見知らぬ人物をまじまじと見つめた。
大人しいスタイルの黒髪。
長めの前髪の下の、柔弱そうな瞳。
一見すると女の子みたいにも見える線の細い顔立ち。
(この人が、リアルの“キリト”?)
やはり違う。
あの世界で遊んでいた“彼”とは。
だけど、ツクリモノの世界の向こう側にある、真実に繋がることが知れて嬉しくなる。
……本当はいけないことなのだと、わかっていても。
(でも、また逢えたらいいな。それでまた一緒に………)
…………と、この時は思っていた。
もし彼が正規版ではリアルに似せてPCをつくったら気づけるかもしれない。
そしたらまた一緒に冒険ができるかもしれない、と無邪気に。
……けれど。
後ろめたさはあっても後悔はしていなかった、この選択を。
彼の素顔を知ってしまった、自分自身を。
後に私は、激しく呪うことになる─────
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Kizuna(プロフ) - わあああすみません!!!ご指摘ありがとうございます(>o<") (2017年3月7日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
ネムム(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいねー (2017年3月7日 13時) (レス) id: 2bd2d16489 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kizuna | 作成日時:2017年3月3日 20時