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3 (side.unknown) ページ14

……“それ”に気づいたのは、偶然だった。



あの運命の日。
誰もが思いもよらなかった形でSAOの正式サービスが開始されてから1ヶ月。
はじまりの街の《黒鉄宮》に鎮座する《生命の碑》からは、すでに2千もの名前が消えていた。

それはつまりこの世界から────否、俺たちが帰るべき現実からも二千人が脱落したことを意味していた。

……けれど、俺は、それについて何か思うことなどなかった。

《生命の碑》には死亡理由も刻まれる。そして、大抵それはプレイヤー自身の行動が原因だった。たとえば戦闘とかPKとか(後者は天災に近いかもしれないが)。

(……まぁ、要は、ここから出たってことだろ)

はじまりの街に残っていれば良かったのに。
そうすれば無様に死ぬことなどなかったのに。

俺が横線を引かれた名前を見て感じるのは、“救いようのない馬鹿だな”という嘲り。
それから、“俺はそんな奴らとは違うんだ”という安心感だった。
…………はじまりの街に残ったのは我が身可愛さに戦うことを放棄した奴らだから、そう思うのは俺だけじゃないはずだ。

……なのに。


「なんだ、これ……音?」


真夜中。
久しぶりに訪れた《生命の碑》の間には、何か楽器の音らしきものが流れていた。
システムに設定されたBGMではない。ここにはそんなものは存在しない。なぜならここはある意味で“墓”であり、βの時とは大きく役割を変えてしまった場所だからだ。

誘われるように奥へと進む。
やがて全容を現した巨大な石碑────《生命の碑》の前で、ひとりのプレイヤーが鳩琴(オカリナ)を吹いていた。

(…………下手くそ…………)

メロディー自体は妙なる哀切の響きを宿しているが、演奏が最悪なせいで台無しだ。

それでも。
その人物が、ここで眠る人たちのためにそうしているのはなんとなく伝わってきた。

……たどたどしくも聴くものの胸を打つ、密やかな鎮魂歌(レクイエム)が、この場所を満たしている。


「……何、やってんの、アンタ」


音が止んだ。
プレイヤーが振り返る。フードを被っているせいで顔は見えない。


「……忘れちゃダメだと思って」


小さく喋ったその声は、ひどく透明だった。
澱むことを知らない清水のように。
……なのに今にも壊れてしまいそうな硝子にも似て。

「もうすぐ第一層攻略会議だから。……自分を戒めるためにも、私が殺した人たちの事を知っときたかったんだ」

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Kizuna(プロフ) - わあああすみません!!!ご指摘ありがとうございます(>o<") (2017年3月7日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
ネムム(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいねー (2017年3月7日 13時) (レス) id: 2bd2d16489 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Kizuna | 作成日時:2017年3月3日 20時

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