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「ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ」
ヒソカ「…。」
咳き込みながらもヒソカを抱きしめる腕を話そうとはしなかった。表情は見えなかったけど、胸の中の彼が段々と我に返りつつあることには気付いていた。
彼は優しい。
だからこそ、きっと本当の姿を隠し通してきたんだ。私や翔のことを思って。
それが二十年弱の月日を経て、ついに限界の域に達してしまったのだろう。
ただそれだけだ。
そう、それだけ。
子供をあやす様にして、背中を叩いてやると、ヒソカはぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めた。
ヒソカ「…怖くないの？」
「怖くないよ。ヒソカだもん。」
ヒソカ「僕は人を殺すことに抵抗がない。君のことだってこうして殺そうとした。」
「でも、それがヒソカなんでしょう。私は受け入れるよ。」
「でも、苦しいのはやめて欲しいなぁ。」と冗談交じりに笑うと、彼は溜息を着いた。
ヒソカ「…はぁ、Aには適わないな。」
「？」
ヒソカ「どうして本性を隠してたと思う？」
「そりゃ、私達家族に気を遣って……」
ヒソカはまたはぁ、と盛大な溜息をついた。
何なのよ、さっきから。
まるで私が物分り悪いみたいに。
「言いたいことあるならはっきり言ってよ。」
急かすようにそう言うと、静かなリップ音が寝室に谺した。
ヒソカ「Aのことが好きだよ。今も昔も、これからも。Aは僕のこと…＿＿＿」
返事を期待するであろうその言葉を諦めて、彼は微笑んだ。私の顔を覗き込むその表情は、昼間の駄菓子屋では見せないような優しい微笑みだ。…そういう顔してれば子供も怖がらないと思うんだけど。
ヒソカ「…やっぱりいいよ。」
「え？」
ヒソカ「その顔を見れば、誰だって君の返事が分かるからね。」
「…。」
コノヤロー、からかいやがって。
と、ヒソカを睨みつけるのは真っ赤に染まった私の顔。
「じゃあね、真っ赤な林檎ちゃん。」と吐き捨てると、彼は窓辺から飛び立った。
「…ヒソカの馬鹿。」
*
拝啓、未来の私
どんな世界を貴方が過ごしているかなんて、今の私には全く想像がつきません。
だけど、どうしようもないくらいに弱虫で腐れ縁なアイツと、いつまでも仲良くやってくれたら嬉しいな。
…………応援、してます。
あらあらかしこ、私。
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かにかま(プロフ) - 音かなでさん» コメントありがとうございます。ヒソカの弱い面ばかり描写していたので、魅力が表現出来ているのか不安でしたがそう言って頂けて嬉しいです！勿体ないお言葉をありがとうございます。 (2020年3月20日 11時) (
レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
音かなで(プロフ) - 面白かったです！ラストとかヒソカすごくカッコよかったです！！翔くん大っ好きです！レオリオとかヒソカの恋愛小説って難しいんじゃないかって私思ってたんですけど、さすがかにかまさんですね！これからも、無理せずに頑張ってください！ (2020年3月19日 22時) (レス) id: 73c7ce9b4a (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - mikuri1024さん» コメントありがとうございます。お褒めに預かり光栄です(^^) ふふふ、今後の展開につきましてはお楽しみに…！ (2020年3月19日 1時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
mikuri1024(プロフ) - おっ、これはヤンデレ展開くるか！？お気に入り登録して待機せねば！設定がとても好きです。応援してますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: e18f624388 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 加奈さん» コメントありがとうございます。本家様の足元には到底及びませんが、暇つぶし程度に楽しんで頂けたら幸いです(^^) (2020年3月16日 16時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2020年2月26日 20時
